香港、新型コロナ新規感染確認109人…大型マンション群のオミクロン株クラスターは累計210人規模に=1/24

 人口約740万人の香港では、2020年11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いていたが、2021年5月にかけて状況が落ち着き、同月末までに終息した。

 6月以降も外遊歴のない人(多くが空港業務従事者)の散発的な感染確認があったものの、長く市中における連鎖的な伝播は出現していなかったが、大晦日に検疫規則違反のキャセイパシフィック航空の男性クルーをきっかけとした飲食店内での伝播が出現したことが判明し、83日にわたって続いた市中感染確認例ゼロ記録がストップ。年初以来、別のキャセイ航空クルーを発端とした感染連鎖伝播チェーン(いずれもオミクロン変異株)、ペットショップの輸入ハムスターが発端のデルタ変異株の伝播、隔離検疫ホテルにおける交差感染を発端としたオミクロン変異株伝播などが出現する中、連日新規陽性者が相次いでおり、「第5波」が始まったものとみられる。

 香港衛生当局の発表によれば、1月24日午前0時時点集計の単日の新規陽性者は109人で、内訳は輸入関連性を含む市中が98人(感染経路不明5人)、輸入性(海外からの入境者)が11人。

 輸入関連性を含む市中の陽性者98人のうち69人が新界南西部の葵涌地区にあるマンション「葵涌邨」に絡むものとのこと。

 「葵涌邨」は複数の棟で構成される大型マンション群(全16棟)で、およそ3万人が暮らしているとされる。このうち、最初に感染確認例が出現した棟が「逸葵樓」。隔離検疫ホテルで所定の隔離検疫期間を満了したパキスタン籍の女性が市中に出た後にオミクロン変異株感染確認されたケース(検疫期間中に隣接する部屋の陽性者からの交差感染)と関連があり、この女性の夫が密接接触者に認定され隔離検疫される前の1月13日に逸葵樓のゴミ置き場を訪れたことをきっかけに、清掃員、警備員、さらには住民へと伝播したものとみられる。この日の新規陽性者の内訳は、逸葵樓27人、映葵樓33人、雅葵樓2人、他の7棟から各1人とのこと。

 さらに、初歩陽性者は100人超で、大半が「葵涌邨」関連。香港当局は1月21日から逸葵樓、22日から映葵樓をそれぞれ局地ロックダウンして5日間にわたる検査(出入不可)、その他の棟でも住民に対する強制ウイルス検査を実施おり、これらを通じて新たな陽性者が続々と見つかっている。葵涌邨内で見つかった感染確認及び初歩陽性者の累計は210人超(16棟中12棟に分布)に上り、大規模クラスター化が進む状況。

 また、葵涌邨のすぐ隣に位置する大型マンション群「大窩口邨」の一棟で垂直感染が出現した模様。九龍・黄大仙区では、汚水から採取したサンプルがデルタ変異株及びオミクロン変異株陽性となり、区内で見えない伝播チェーンが存在する可能性もあるとして、当局が従民に対して留意するとともに、検査を受けるよう呼びかけた。

 目下、香港では市中で出現した陽性者及び初歩陽性者の住居のあるマンション同棟住民や立ち寄り先に居合わせた人が次々と強制検疫(検疫センターでの隔離検疫)あるいは強制ウイルス検査の対象となっており、域内におけるソーシャルディスタンス措置、水際措置の引き締めも進む状況。近日では、水際措置の強化を受けて輸入性事案は大幅減となっているものの、輸入性を含む市中事案が連日出現し、感染経路不明のケースも後を絶たない中、見えない伝播チェーンが複数存在する可能性も排除できず、警戒が続いている。

 このほか、香港の1月23日午後8時時点のワクチン接種率は77.9%(1回目の接種完了)、70.5%(2回目の接種完了)となっている(※1月21日から新たに接種対象となった5〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したなどを受けて、年初から上昇傾向が続く。

大型マンション群「大窩口邨」内にある富強樓の住民を対象とした検査の様子。約1150人が受検した=2022年1月23日(写真:news.gov.hk)

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