中国本土、新型コロナ新規市中感染確認73人…大半が広西チワン族自治区、一層拡大の可能性も=2/8

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降も全国的には安定した状況を維持しているが、散発的な市中感染確認例が度々出現している状況。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が2月9日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月8日の中国本土における新規市中感染確認は73人(前日から8人増)だったとのこと。内訳は広西チワン族自治区72人(百色市)、遼寧省1人(葫芦島市)。このうち広西チワン族自治区の2人が無症状から感染確認に転じたケース。中国本土で市中感染確認例が出現するのは116日連続。市中の無症状感染例については3日連続で出現し、黒竜江省(黒河市)で1人。

 香港・マカオと陸で接する広東省では、今年に入って以降、1月上旬から中旬にかけて珠江西岸(マカオ寄り)の珠海市、2月6日以降に珠江東岸(香港寄り)の深セン市をそれぞれ中心として断続的にオミクロン株の市中感染確認が続いていたが、2月7日に8日ぶりに省内における市中感染確認例がゼロとなり、8日まで2日連続ゼロを維持。ただし、広東省の南に隣接する広西チワン族自治区の百色市を中心に近日新たな再流行が出現。同市で最初に見つかった患者は深セン市滞在歴があったとされる。同市では、2月6日から全市で不要不急の外出を制限する措置などの蔓延防止策が講じられており、全市民対象PCR検査実施を通じて多くの陽性者が見つかっている状況。同自治区の今回の再流行はオミクロン株とされ、累計感染確認数は200人規模に達している。

 NHCは2月8日午後の会見で、今回の広東省深セン市のオミクロン変異株感染伝播は、広東省内、さらには広西チワン族自治区、湖南省の3省区9市に波及したとし、広東省内の雲浮市、恵州市、梅州市、河源市等についてはすでに封じ込めに施行したが、深セン市では6日にも制限区域内での新規感染確認例が複数出現したことから依然として拡散リスクが残っているとの見方を示した。また、広西チワン族自治区における感染確認例の約80%が同じ自然村の中から出現し、市中で見えない伝播が発生してから時間が経過している上、活動範囲が広く、加えて春節シーズンで人の流動性も大きかったことを挙げ、今後も感染拡大が進むリスクが高いとした。

 2月8日24時時点の中国全土で治療中を受けている感染確認者数は1495人(うち輸入性が666人)で、重症者は4人(うち輸入性1人)。無症状の患者837人(輸入性745人)が医学観察下にあるとのこと。

 なお、2月4日に開幕した北京冬季五輪の関係者については、バブル方式(閉塞管理)が採用されている。組織委員会が2月8日午前に発表した情報などを総合すると、1月23日から2月7日までの五輪関係者の累計陽性者数は393人(うち選手及び選手団随行メンバー159人)。2月7日単日では6人(同1人)だった。

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。しかしながら、昨年11月下旬以降、各地で散発的な再流行が断続的に出現。省市区を越えて伝播したものもあれば、一部地域にとどまるものもあり、最初のきっかけとなった感染源もさまざま。

 このほか、マカオ特別行政区では2月8日まで122日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。航空会社クルーをきっかけとした市中におけるオミクロン株伝播、ペットショップの輸入ハムスターが発端とみられるデルタ株伝播、隔離検疫ホテルにおける交差感染を発端としたオミクロン株の主に3つの伝播チェーンが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。単日感染確認数は2月8日に流行開始以来の最多を2日連続更新する625人となり、感染経路不明のケースも累積している。

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

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