香港、新型コロナ新規感染確認数が1万人超に…流行開始以来最多を3日連続更新=2/25

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、その多くが感染経路不明となるなど、状況が深刻化している。

 香港衛生当局の発表によれば、2月25日午前0時時点集計の単日の新規感染確認は前日から1212人増の1万0010人だったとのこと。単日1万人超となったのは初で、流行開始以来最多を3日連続更新した。内訳は市中が1万0006人、輸入性(海外からの入境者)が4人。なお、前日の陽性報告数は2万1979人に上り、過去2日間から顕著な増となった。当局では、依然として市中の人流が多いとし、市民に対して伝播拡大を抑えるため各種防疫措置への協力をあらためて呼びかけた。

香港のイメージ=香港島・中環にて本紙撮影

 公立病院における25日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は47人(男性27人、女性20人/年齢9〜100歳/ワクチン未接種42人)で、これとは別に21〜23日分として遅れて報告された死亡者は12人(45〜95歳)とし、第5波下の公立病院における累計死亡者数は314人、2020年初頭に新型コロナの流行が始まって以来では519人となった。また、25日夕方の会見時点で把握できている入院中の危篤患者数は51人おり、このうち48人が深刻な状況という。危篤の患者の中には発熱、嘔吐、胸部不快感などの症状が出現して24日に入院した5歳の女児が含まれ、家族についてもスピード検査で陽性が判明したという。また、感染確認された児童の入院者数は400〜500人に上り、自宅での入院待機を余儀なくされる状況も出現しているとのこと。

 2月に入って以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めている。各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表されている。

 香港の2月24日午後8時時点のワクチン接種率は87.8%(1回目の接種完了)、76.5%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、市中感染確認例が相次ぎ出現したこと、ワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。24日単日の接種回数は9万0542回で、高位を維持。政府は免疫の壁を構築するための目標として、接種率9割の達成を掲げており、ワクチンパスが24日から本格スタートした。

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