中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降も全国的には安定した状況を維持しているが、散発的な市中感染確認例が度々出現している状況。

　中国の国家衛生健康委員会（NHC）が3月1日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、2月28日の中国本土における新規市中感染確認は75人（前日から12人減）だったとのこと。内訳は、広東省31人（深セン市23人、東莞市7人、中山市1人）、内モンゴル自治区14人（フフホト市13人、包頭市1人）、天津市6人（海浜新区4人、東麗区2人）、広西チワン族自治区6人（防城港市）、雲南省6人（徳宏タイ族チンポー族自治州5人、臨滄市1人）、黒竜江省4人（牡丹江市3人、鶏西市1人）、江蘇省3人（蘇州市）、湖北省2人（武漢市）、山西省1人（晋中市）、海南省1人（三亜市）、四川省1人（成都市）。中国本土で市中感染確認例が出現するのは136日連続。市中の無症状感染例についても17日連続で出現し、広東省25人（東莞市20人、深セン市5人）、雲南省6人（臨滄市3人、徳宏タイ族チンポー族自治州2人、紅河ハニ族イ族自治州1人）、黒竜江省5人（牡丹江市4人、佳木斯市1人）、上海市3人（浦東新区）、山東省1人（煙台市）、湖北省1人（武漢市）、四川省1人（成都市）の計42人。

　香港・マカオと陸で接する広東省では、今年に入って以降、1月上旬から中旬にかけて珠江西岸（マカオ寄り）の珠海市、2月6日以降に珠江東岸（香港寄り）の深セン市をそれぞれ中心として断続的にオミクロン株の市中感染確認例が出現。一旦は落ち着いていたが、深セン市で12日に6日ぶりとなる感染確認例が出現し、以降は28日まで17日連続。深セン市では、2月中旬に隔離検疫ホテルスタッフのオミクロン変異株によるクラスターが出現したほか、自主的に検査を受けた人が感染確認されるケースも相次いだ。近日の市中感染事案の大半がオミクロン変異株亜種BA.2（いわゆる「ステルスオミクロン」）と報告されており、感染者の出現範囲も広いという。深セン市の北に位置する東莞市では、25日から大朗鎮の工業区域の一部を中心に感染者の確認が相次ぎ、同一チェーン上にあるオミクロン変異株の伝播とされる。中山市の患者は、珠海市に接する坦洲鎮で出現し、感染経路は調査中とのこと。近日、珠海市を経由して毎日マカオとの間を往来していたため、マカオの訪問先周辺一帯（約8000人）が強制ウイルス検査の対象となったほか、密接接触者、二次接触者とされた人が隔離検疫施設に移送されるなどの影響が生じた。これまでのところ、マカオで本件に絡みウイルス検査を受けた人の検査結果はすべて陰性という。

　2月28日24時時点の中国全土で治療中を受けている感染確認者数は2873人（うち輸入性が1610人）で、重症者は19人（うち輸入性1人）。無症状の患者1097人（輸入性825人）が医学観察下にあるとのこと。

マカオとの陸路の玄関口のとなる広東省珠海市の拱北出入境ゲート（資料）—本紙撮影

　中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零（ゼロ化）」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。しかしながら、昨年11月下旬以降、各地で散発的な再流行が断続的に出現。省市区を越えて伝播したものもあれば、一部地域にとどまるものもあり、最初のきっかけとなった感染源もさまざま。

　マカオ特別行政区では2月28日まで141日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年（2021年）12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。航空会社クルーをきっかけとした市中におけるオミクロン株伝播、ペットショップの輸入ハムスターが発端とみられるデルタ株伝播、隔離検疫ホテルにおける交差感染を発端としたオミクロン株の主に3つの伝播チェーンが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月以降は感染確認数が急増しており、28日は流行開始以来最多を6日連続更新する3万4466人に。目下、香港ではステルスオミクロンの伝播が主となっているという。公立病院の隔離病床及び市中の隔離施設が深刻なキャパシティ不足に直面しており、中国中央のサポートを経て仮設施設の建設が進むほか、3月にかけて全市民を対象とした強制PCR検査が実施される予定。近日、港珠澳大橋を経由して香港から広東省珠海市とマカオへ向かった人が到着後に陽性が発覚するケースも相次いでいる。