香港、新型コロナ新規感染者数は約5.8万人…スピード検査陽性報告数含む、第5波累計57万人超に=3/9
- 2022/3/9 19:30
- 香港・大湾区
人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。
第5波のきっかけとして、隔離施設での検疫が免除されていたキャセイパシフィック航空のクルーが検疫規則に違反して外食に出かけた「望月樓」レストランに居合わせた人たち(オミクロン変異株)、市中に戻った後に隔離検疫ホテル滞在中の交差感染が発覚した女性(オミクロン変異株)、複数店舗で販売されていたオランダから輸入のハムスター(デルタ変異株)の3つが認知されており、これらが入り混じって複雑化の様相を呈している。2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療システムのキャパシティが限界に達するなど、状況が深刻化。近日、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。
香港衛生当局の発表によれば、3月9日午前0時時点集計の単日の新規感染確認(PCR検査結果が陽性となり感染確認に至ったケース)は前日から2484人減(8.7%減)の2万5991人で、2日ぶりに下落。内訳は市中が2万5984人、輸入性(海外からの入境者)が7人。
これに加えて、スピード抗原検査結果のオンライン陽性報告数が3万2766人おり、PCR検査を経て感染確認に至ったケースと合計した単日新規感染者数は約5.8万人となった。
第5波開始以来の累計は、PCR検査を経て感染確認に至ったケースが53万8602人、スピード検査陽性報告が3万4784人、合計では57万3386人に。
当局では、PCR検査を経て感染確認に至ったケースは、数日前には連日5万人超だったが、近日では2.5万人から3万人となり、すでにピークを過ぎて落ち着きつつあるものの、もう数日は様子見をする必要があるとの見方を示した。また、第5波開始以来の累計感染確認数が50万人を超え、その多くが軽症または無症状であることを考慮すれば、一部に検査を受けていない人もいると想定され、市中におけるリアルな感染状況は当局が把握している数字を大きく上回っているだろうとした。
公立病院における9日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は195人(41〜105歳、ワクチン未接種145人)で、これとは別に2月27日から3月7日分の遅れて報告された死亡者が95人(47〜100歳)おり、第5波開始以来の累計死亡者数は2656人、死亡者年齢中位数は85歳(60歳以上の占める割合94.8%)、死亡率は0.46%とのこと。死亡率に関して、ワクチン2回接種済みだった人は0.06%だったが、未接種あるいは1回接種は1.64%で、大きな差があることも明らかにされた。
2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表済み。ただし、全市民対象の強制PCR検査に関しては、3月実施予定とされているものの、具体的な実施スケジュールは示されていない。9日、政府として死亡者数、重症者数、感染者数の減少に重点を置いた取り組みを進める方針を明らかにし、優先順位に変更が生じた可能性もありそうだ。
このほか、香港の3月8日午後8時時点のワクチン接種率は90.5%(1回目の接種完了)、78.6%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は47.7%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。8日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は7万8011回で、高位を維持した。
香港で新型コロナワクチン接種プログラムがスタートしたのは昨年2月26日のこと。接種率50%を達成したのは8月5日で、以降は70%が11月23日、80%が今年2月6日、90%が3月5日。ただし、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳が79.3%、80歳以上が52.9%と大きく平均を下回る。