香港、新型コロナ新規感染者数は約3.1万人…当局が流行第5波ピーク過ぎたとの見方示す=3/10

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 2月に入って以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど、状況が深刻化している。目下、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局の発表によれば、3月10日午前0時時点集計の単日の新規感染確認(PCR検査結果が陽性となり感染確認に至ったケース)は前日から1601人減(6.2%減)の2万4390人で、2日連続下落。スピード抗原検査結果のオンライン陽性報告数は同2万5754人減(78.6%減)の7012人。これらを合計した単日新規感染者数は3万1402人で、第5波開始以来の累計は約60.4万人に。

 当局では、今週に入って以降、PCR検査を経て感染確認されるケースが下落に転じており、すでにピークが過ぎたとの見方を示した。前日までは様子見との慎重な姿勢を維持しており、ポジティブな見方に転換したのは初めて。また、スピード検査陽性報告数についても安定しているとし、今後は流行状況の緩和が進むとみられるが、市民に対して引き続き気を引き締め、各種防疫措置を遵守してほしいと呼びかけた。

 公立病院における10日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は180人(47〜112歳)で、これとは別に2月28日から3月8日分の遅れて報告された死亡者が101人(52〜103歳)おり、第5波開始以来の累計死亡者数は約2900人、死亡者年齢中位数は85歳(60歳以上の占める割合95%)、死亡率は0.49%とのこと。死亡率に関して、ワクチン2回接種済みだった人が0.07%だったのに対し、未接種あるいは1回接種は1.75%という。

 2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設を進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施なども発表済み。全市民対象の強制PCR検査に関しては、当初3月実施予定とアナウンスされたものの、現時点まで具体的な実施スケジュールは示されていない。

 このほか、香港の3月9日午後8時時点のワクチン接種率は90.6%(1回目の接種完了)、78.9%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は49.0%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。9日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は7万3984回で、高位を維持した。

 年齢層別の接種率では、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳が79.5%、80歳以上が53.4%と大きく平均を下回っており、接種率向上策が講じられている。

香港労工処の職員による局地ロックダウンの対象エリア住民への中国中央政府から寄贈された抗疫漢方薬とスピード抗原検査キット配布作業の様子=2022年3月10日(写真:news.gov.hk)

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