香港、新型コロナ新規感染者数は1万6597人…第5波累計約102万人、死亡率は0.5%=3/19

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 2月以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど、状況が深刻化している。目下、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局が3月19日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染者数は前日から3485人減(17.4%減)の1万6597人(輸入性14人含む)で、スピード抗原検査経由が約54%を占めたとのこと。第5波開始以来の累計感染者数は約102万人となった。

 当局では、目下のところ感染確認数は緩やかに減少してきており、市中における実際の状況を反映したものであれば良いが、症状が出現しているにもかかわらずPCR検査を受けない感染者の存在も否定できず、流行の趨勢を判断するには時間を要すると慎重な見方を示した。

 公立病院における19日未明時点の直近24時間の感染者の死亡者数は182人で、これとは別に遅れて報告された死亡者が61人、医管局以外からの報告が6人おり、第5波開始以来の累計死亡者数は5437人に。総体死亡率は約0.5%。ワクチン接種歴による死亡率については、2回以上接種済みの人が0.09%だったに対し、2回接種を済ませていない人は1.34%。

 2月以降の感染急拡大を受け、検査体制の逼迫、公立病院の隔離病床の不足が深刻化している状況で、感染確認または陽性となった人が自宅での待機を余儀なくされているケースも多い。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設、医療支援チームの受け入れなどを進めているほか、各種防疫措置の強化、全市民を対象とした強制PCR検査の実施計画も発表済み。全市民対象の強制PCR検査に関しては、週明け具体的な内容が発表予定とされている。

 香港の3月18日午後8時時点のワクチン接種率は91.4%(1回目の接種完了)、81.7%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は56.6%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。18日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は7万2315回で、7日移動平均は6万6310回。年齢層別の接種率では、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳と80歳以上が大きく平均を下回っており、接種率向上策が講じられている。

 このほか、香港政府は3月21日から深セン灣及び港珠澳大橋香港側イミグレーションから中国本土またはマカオへ出発する人に対し、有効なPCR検査陰性証明の提示に加え、施設内でスピードPCR検査の受検を必須とする措置を講じることを発表した。スピードPCR検査の結果が出るまでにかかる時間は1〜2時間程度とのこと。香港からの新型コロナ症例流出防止と中国本土の防疫措置への協力が目的で、香港国際空港から中国本土へ向かう人に対しても同様の措置を講じることも検討中という。

局地ロックダウンの対象となったクントン地区の団地住民に対する中国中央から香港に寄付された抗疫漢方薬の配布の様子=2022年3月19日(写真:news.gov.hk)

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