香港、新型コロナ新規感染者数は1万0405人…直近1週間で最少、第5波累計は約109.8万人=3/25

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 2月以降、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど、状況が深刻化している。目下、市中における伝播はオミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)が主とされている。

 香港衛生当局が3月25日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から2669人減(20.4%減)の1万0405人とのこと。2日ぶりに直近1週間の最少を更新し、7日連続で2万人を下回った。第5波開始以来の累計感染者数は約109.8万人。

 新規死亡確認数は192人で、第5波開始以来の累計死亡者数は6749人、総体死亡率は前日から0.01ポイント上昇の約0.61%に。死亡者の約96%が65歳以上の高齢者となっており、このところは総体死亡率がじわじわと上昇を続けている。

 当局では、香港における流行状況は依然として深刻で、今後の趨勢を予測するのは難しいとの見解を示し、市民に対して引き続きソーシャルディスタンス措置を遵守し、いかなる場合でもマスクを正しく着用するよう呼びかけた。

 第5波下、高齢者介護施設に関連する感染例が多く確認されている。第5波開始以来の高齢者介護施設及び障がい者施設入所者の死亡数は3685人に上っている。

 2月以降の感染急拡大を受け、医療現場のキャパシティ不足が深刻化している状況。目下、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設、医療支援チームの受け入れなどを進めて対処している状況。患者に対する米国製の2種の経口治療薬の使用も始まっている。

 香港の3月24日午後8時時点のワクチン接種率は91.8%(1回目の接種完了)、83.2%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は58.8%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。24日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は6万0072回で、7日移動平均は6万0434回。年齢層別の接種率では、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳(81.4%)と80歳以上(56.9%)が大きく平均を下回っており、接種率向上策が講じられている。

 このほか、25日午前に開催された行政長官臨席の定例会見では、4月初旬にかけてスピード抗原検査キット、抗疫漢方薬、マスク等の物資が入った防疫サービスパックを全家庭に配布する計画が発表された。当初は全市民を対象としたPCR検査会場で配布するとされていたが、これが先送りとなったため、公営住宅を管理する政府部門や不動産管理会社などを通じての配布に切り替えたものとみられる。未着の場合も、市内18箇所に設けられる配布スポットで受け取ることができるという。

防疫サービスパックの配布計画を発表する香港特別行政区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官(右)=2022年3月25日(写真:news.gov.hk)

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