香港の新型コロナ新規感染者数4475人、10日連続下落…第5波累計約115万人、3日間かけ全市民抗原検査実施へ=4/2

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は、新規感染確認数も落ち着きつつあるが、依然として高止まりが続く。

 香港衛生当局が4月2日夕方の記者会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から1348人減(23.1%減)の4475人(輸入性18人含む)とのこと。10日連続で下落、8日連続で1万人を下回った。第5波開始以来の累計感染者数は約115万人。

 医管局から新たに報告された死亡者数は116人で、第5波開始以来の累計死亡者数は7848人、総体死亡率は前日から0.01ポイント上昇の約0.68%に。

 当局では、単日の新規感染確認者数は緩やかに減少しているものの、依然として毎日数千人規模の確認があり、市民に対して警戒を維持するよう求めた。

 2日午前、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官臨席の定例会見では、4月8日から10日までの3日間、全市民に対して毎日1回、スピード抗原検査を実施し、結果が陽性の場合は24時間以内に報告するよう呼びかけがなされた。香港政府は2日から市民に防疫サービスパックの配布をスタートしており、パックの中にはスピード抗原検査キットが20本入っているという。検査実施の目的として、香港全域における感染状況の把握を挙げている。香港政府は全市民を対象としたPCR検査の実施を計画しているが、感染者数が高止まりしている中、先送りを余儀なくされている。今回3日間かけて実施するスピード抗原検査は、当初計画していたPCR検査を代替するものではなく、PCR検査の実施スケジュールは状況をみてあらためて判断するとした。

 2月以降の感染急拡大によって、医療現場のキャパシティ不足が深刻化したことを受け、政府がホテルの借り上げや公営住宅の転用、中国中央政府の支援も得て仮設の大規模隔離・治療施設の建設、医療支援チームの受け入れなどを進めて対処を進めた結果、直近では入院待機状況が改善傾向にあるという。一時ストップしていた局地ロックダウンによる強制ウイルス検査も再開されている。

 香港の4月1日午後8時時点のワクチン接種率は92.1%(1回目の接種完了)、84.9%(2回目の接種完了)となっている(※新たに接種対象となった3〜11歳は含まず)。3〜11歳の1回目接種率は60.8%。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。1日単日の接種回数(1〜3回目の接種合計)は4万7115回で、7日移動平均は4万6983回。年齢層別の接種率では、新たに接種対象となった3〜11歳のほか、70〜79歳(82.0%)と80歳以上(58.1%)が大きく平均を下回っており、接種率向上策が講じられている。当局は、4月末までに高齢者の接種率9割を達成することを目標として掲げている。

防疫サービスパックの包装作業会場のひとつとなった公立中学校を視察する署理民政事務局の陳積志局長(左2)=2022年3月31日(写真:news.gov.hk)

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