中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は約2.7万人…上海市が約95%占める、広東省広州市でもリスク増大=4/10

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が4月11日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月10日の中国本土における新規市中感染確認は1164人(前日から154人減)だったとのこと。内訳は、上海市914人(松江区291人、浦東新区209人、閔行区101人、嘉定区71人、楊浦区61人、徐匯区44人、黄浦区37人、静安区28人、宝山区21人、奉賢区16人、金山区15人、普陀区8人、虹口区6人、長寧区5人、青浦区1人)、吉林省187人(長春市102人、吉林市66人、白城市16人、四平市2人、遼源市1人)、広東省19人(広州市18人、中山市1人)、浙江省9人(寧波市4人、嘉興市3人、湖州市1人、紹興市1人)、福建省9人(寧徳市6人、泉州市3人)、江蘇省7人(南京市3人、蘇州市2人、徐州市1人、連雲城市1人)、陝西省7人(西安市6人、渭南市1人)、山東省2人(済南市1人、青島市1人)、海南省2人(三亜市)、四川省2人(成都市)、雲南省2人(曲靖市1人、普ジ市1人)、山西省1人(太原市)、遼寧省1人(瀋陽市)、安徽省1人(阜陽市)、江西省1人(南昌市)。このうち上海市の47人、吉林省の31人、浙江省の3人、福建省、海南省、四川省の各2人、遼寧省、安徽省、雲南省の各1人の計90人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは177日連続。4桁となるのは30日連続で、上海市では3日ぶりに3桁台まで下落した。

 市中の無症状感染例についても2万6411人(前日から1308人増)に上った。近日は上海市で増加傾向、吉林省で高止まりが続く。内訳は、上海市2万5173人(浦東新区6501人、徐匯区3109人、閔行区3055人、宝山区1805人、楊浦区1782人、黄浦区1741人、松江区1536人、嘉定区1333人、虹口区1272人、普陀区992人、青浦区879人、静安区580人、長寧区422人、奉賢区69人、崇明区54人、金山区43人)、吉林省797人(長春市743人、吉林市46人、遼源市7人、白山市1人)、河北省100人(保定市67人、邯鄲市31人、定州市2人)、安徽省68人(阜陽市32人、六安市30人、合肥市3人、淮南市2人、ジョ州市1人)、江蘇省46人(蘇州市12人、南通市9人、鎮江市9人、南京市7人、連雲城市3人、宿遷市2人、徐州市1人、常州市1人、淮安市1人、泰州市1人)、湖北省33人(武漢市12人、黄岡市10人、鄂州市8人、恩施トゥチャ族ミャオ族自治州2人、随州市1人)、浙江省28人(杭州市17人、嘉興市8人、金華市2人、寧波市1人)、江西省19人(南昌市)、広東省18人(広州市9人、仏山市8人、深セン市1人)、山東省13人(済南市7人、臨沂市4人、日照市1人、カ沢市1人)、遼寧省12人(瀋陽市9人、鞍山市2人、錦州市1人)、福建省9人(寧徳市)、雲南省8人(普ジ市4人、文山チワン族ミャオ族自治州3人、昆明市1人)、海南省5人(三亜市)、河南省4人(鄭州市2人、安陽市1人、永城市1人)、山西省3人(太原市2人、運城市1人)、黒竜江省3人(牡丹江市)、新疆ウイグル自治区3人(ウルムチ市)、広西チワン族自治区2人(防城港市1人、崇左市1人)、四川省1人(綿陽市)。

 無症状を含む新規感染者が5桁となるのは9日連続で、6日連続2万人超。上海市での急増に伴い、このところ連日流行開始後の最多を更新している。

 4月10日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は2万2395人(うち輸入性が370人)で、重症者は76人(輸入性はゼロ)。無症状の患者21万9896人(輸入性927人)が医学観察下にあるとのこと。

中国広東省広州市内にある高層ビル(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。

 香港・マカオと陸で接する広東省では、今年に入って以降、珠江西岸(マカオ寄り)の珠海市と中山市、珠江東岸(香港寄り)の深セン市と東莞市をそれぞれ中心として断続的に市中感染確認例が出現していたが、近日の両市の感染確認数は低位を維持している。ただし、近日は各地で省外からの流入例が相次いでいる。中でも広州市では、複数の区から計2桁の感染者が出現し、大部分が白雲区の局地ロックダウンエリア内あるいはその濃厚接触者だが、市中においても潜在感染者がいる可能性もあるとして防疫措置が大幅に引き上げられ、不要不急の市外への移動を控えるよう呼びかけがなされている。珠海市と中山市においても、居住区へ入る際及び公共路線バス利用時に48時間以内のPCR検査陰性証明の提示が必須とされ、各種防疫措置を引き上げるなどの動きがある。

 このところ中国本土の多くの省市区で新規感染者の出現が相次いでいるが、特に深刻なのが華東部の上海市と東北部の吉林省。上海市では事実上のロックダウン状態が続いている。リスク度合い別に三段階の防疫管理を行うとする新基準(社区と呼ばれる小ブロック単位で、7日以内に感染者が出現した場合は封鎖継続、7日以上感染者が出現しなかった場合は社区内での移動を許容、14日以上感染者が出現しなかった場合は外出を許容するが地区を跨ぐ移動及び人との集まりは禁止)が公表されており、本格的なロックダウンの解除時期は見通せない。

 マカオ特別行政区では4月10日まで182日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月以降は感染確認数が急増しており、第5波開始以来、4月10日までの累計は約117.7万人(無症状含む)、死亡者数は8557人、死亡率は0.727%に。3月初旬にピークを過ぎたとされ、直近8日連続で新規感染確認数が5千人以下、10日はピーク期以降で初めて2千人を下回った。香港では8日から10日までの3日間、全市民を対象としたスピード抗原検査計画(強制ではなく参加は個人の意思に委ねられる)が実施されたが、これまで上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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