中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1159人…上海は1千人以下に、商業施設など段階的再開へ=5/15

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月16日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月15日の中国本土における新規市中感染確認者数は140人(前日から86人減)だったとのこと。内訳は、上海市69人、北京市39人、四川省14人、河南省8人、広東省5人、浙江省2人、遼寧省1人、江蘇省1人、貴州省1人。このうち上海市の42人、北京市の5人、広東省の3人、浙江省の2人、貴州省の1人の計53人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは212日連続、13日連続で500人以下となった。

 市中の無症状感染例は1019人(前日から473人減)。内訳は、上海市869人、四川省74人、北京市15人、河南省13人、遼寧省10人、安徽省8人、青海省7人、天津市4人、河北省4人、湖北省4人、吉林省3人、黒竜江省2人、広東省2人、江蘇省1人、広西チワン族自治区1人、貴州省1人、雲南省1人。

 無症状を含む新規感染者数は1159人で、3日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が938人に上り、全体の80.9%を占めた。

 5月15日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は5661人(うち輸入性が195人)で、重症者は348人(輸入性はゼロ)。無症状の患者5万2798人(輸入性478人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・上海(資料)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態が続き、依然として本格的な解除時期は見通せない状況。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にあり、同市では5月中の社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)実現を目標として示している。市当局は15日の会見で、厳格な防疫対策を講じることを条件として、16日から段階的に「復商復市」(ショッピングモール、スーパー、コンビニ、ドラッグストア等商業施設及び飲食店のリアル営業再開)を進める考えを示した。これを受けて、上海地下鉄も運行再開準備を進めることを明らかにしている。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いており、すでに累計感染者数は1千人を突破。依然として社会面(隔離対象ではない一般市中)での感染確認例が出現しているほか、職域クラスターも相次ぎ発生しており、市当局は15日の会見で、これらが絡み合う中、情勢は深刻かつ複雑で、流行は膠着状態にあるとの見方を示した。目下、市内では各種防疫対策の強化が進んでいるが、16日から朝陽区、房山区、順義区、豊台区など12区で再度の3回にわたるPCR検査を通じたスクリーニングを実施するほか、在宅勤務及び点と点の間に限った移動による閉塞管理を継続するとのこと。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現したが、現状では一般市中への拡散はない模様。

 マカオ特別行政区では5月15日まで217日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月15日までの累計は119万5875人(無症状含む)、死亡者数は9148人に。15日単日では259人(輸入性33人含む)で、2日連続減少となった。15日まで22日連続で500人以下を維持し、目立ったリバウンドは発生していない。一方、ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続いており、流行第6波につながる懸念材料となっている。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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