中国本土の新型コロナ新規市中感染者数は1016人…上海は4日連続1千人以下、北京では卸売市場で発生のクラスター対応に重点=5/18

 中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年(2022年)に入って以降はオミクロン変異株及びその亜種(いわゆる「ステルスオミクロン」等)の流入を受け、一部地域で比較的大規模な再流行が出現している。

 中国の国家衛生健康委員会(NHC)が5月19日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月18日の中国本土における新規市中感染確認者数は191人(前日から36人減)だったとのこと。内訳は、上海市82人、北京市50人、四川省34人、河南省11人、天津市7人、吉林省6人、広東省1人。このうち上海市の48人、天津市の4人、北京市の2人、吉林省の2人、四川省の1人の計57人が無症状から感染確認に転じた事案。中国本土で市中感染確認例が出現するのは215日連続、16日連続で500人以下となった。

 市中の無症状感染例は825人(前日から175人減)。内訳は、上海市637人、四川省115人、天津市26人、吉林省15人、安徽省12人、河南省9人、北京市5人、遼寧省3人、江蘇省2人、広東省1人。

 無症状を含む新規感染者数は1016人で、6日連続2千人以下に。このうち上海市の報告数が719人に上り、全体の70.8%を占めた。上海では4日連続1千人以下を維持。

 5月18日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は5022人(うち輸入性が183人)で、重症者は286人(輸入性はゼロ)。無症状の患者4万5519人(輸入性419人)が医学観察下にあるとのこと。

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

中国・北京(資料写真)—本紙撮影

 中国当局は域内における拡散防止と同時に、域外からの流入と院内感染を防止するための徹底した措置を講じるなどして「清零(ゼロコロナ化)」を目指す徹底的な対処を進めてきた。具体的には、局地ロックダウン、全民PCR検査によるスクリーニング、区域を跨ぐ移動の制限、飲食店等の特定業種に対する営業制限等の措置が挙げられる。現時点でもゼロコロナ政策を堅持する考えを重ねて強調しており、何らかの封鎖措置が講じられている地域が多く存在する。

 今年に入って以降、オミクロン変異株の流入に伴い、中国本土の多くの省市区で新規感染例の出現が続いているが、特に深刻なのが上海市。同市では3月下旬から事実上のロックダウン(都市封鎖)状態にある。ただし、このところ同市における新規感染確認数は緩やかな下落傾向にあり、市当局は5月中の社会面清零(隔離対象以外の一般市中におけるゼロコロナ状況)実現を目標として掲げていたが、17日時点で市内全16区でこれを実現できたとの見方を示した。18日に報告された感染者も隔離対象の中からに限られた。同市は封鎖エリアの縮小、開放を順次進め、6月1日から中・下旬にかけて正常化を図る計画も明らかにしている。市長が18日に普陀区を視察した際にも、早期の正常化を目指す考えをあらためて示された。

 4月22日以降、北京市でも連日2桁の感染例が続いており、これまでの累計感染者数は1200人規模となっている。依然として社会面(隔離対象ではない一般市中)における伝播チェーンが断ち切れておらず、市中では職域クラスターが複数発生している状況。市当局では、目下のところ、豊台区にある卸売市場で発生したクラスターの対応に重点を置いて取り組んでいるとし、同区では不要不急の区外への移動の制限と在宅勤務実施などの流出防止策を含む管理強化が進んでいるとのこと。また、19日からは北京市と天津市の間の通勤者に対し、北京市を出入りする際に48時間以内のPCR検査陰性証明の提示が求められることになったとの情報もある。

 香港・マカオと陸で接する広東省でも、今年に入って以降、広州市、深セン市、東莞市、珠海市、中山市などで断続的に市中感染確認例が出現していたが、このところ状況は落ち着いており、4月22日までに省内全域が低リスク地域に復帰した。ただし、近日は広州白雲国際空港の職員及びその同住者を中心とした新たな感染例が相次ぎ出現。また、省南部の湛江市でも5月7日から倉庫会社を発端とした複数の感染者が出現したが、般市中への拡散はない模様。18日の省内の感染例は広州市と湛江市から報告されたもの。

 マカオ特別行政区では5月18日まで220日連続市中感染確認例ゼロとなった一方、香港特別行政区では昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が始まった。2月から3月頭にかけて感染確認数の急増があり、3月初旬にピークを過ぎたとされる。第5波開始以来、5月18日までの累計は119.7万人(無症状含む)、死亡者数は9152人、死亡率は0.765%に。18日単日では329人(輸入性31人含む)で、2日連続増加となったが、25日連続で500人以下を維持。ここまで目立ったリバウンドは発生していないものの、直近2週間は200〜300人前後で下げ止まっている状況。ソーシャルディスタンス措置の緩和を受けて、近日はクラスターの発生が続いているが、予定通り19日からソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和を実施されることが決まっており、当局はリバウンドの可能性もあるとの見方を示している。これまで香港では上海市のような全域レベルでのロックダウンは実施されておらず、特定のマンションや区域を対象とした局地ロックダウンにとどまる。

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