香港の新型コロナ新規感染者数は851人…前日から179人増、新たに2軒のバーでクラスター発生=6/11

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株亜種BA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、近日は再び増加に転じている。

 香港衛生当局が6月11日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から179人増の851人(輸入性74人含む)とのこと。内訳はPC検査経由が360人、迅速抗原検査経由(反復検査で陽性が確定したもの)が491人。11日連続で200〜300人水準を上回る状況。第5波開始以来の累計感染者数は約120.6万人。新規の死亡報告数はゼロで、第5波開始以来の累計死亡者数は9177人。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和したため、このところ輸入性の感染例が連日出現し、人数は30人前後。オミクロン変異株亜種(BA.4、BA2.12.1など)の感染者も相次ぎ見つかっている。また、3月下旬以降に流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が段階的に進んだ。

 ただし、ソーシャルディスタンス措置の緩和以降、レストランやバーでクラスターの発生が相次ぎ、関連感染者数が数十人規模に達した例のほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染から市中でのオミクロン変異株亜種(BA2.12.1)の伝播につながったケースなどもある。11日の会見で、新たに2軒のバーでクラスターが発生したことが発表された。バーが営業再開となったのは5月中旬の第二段階緩和からで、これ以降にクラスターが発生した店の数は7軒に上り、すべて香港島の中環(セントラル)あるいは上環(ションワン)地区に集中している。

 当局は、流行第5波の現状について、軽微なリバウンドとの見方を示したが、重症化、死亡、入院数等の数字は顕著な増には至っていないとのこと。リバウンドの要因については、市中に伝播チェーンが存在する中、週末や連休で人流や人の集まる機会が増えたためとした。

 6月10日午後8時時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.3%(1回目の接種完了)、87.6%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化、防疫措置の一環としてワクチンパス(所定施設入場時にワクチン接種証明の提示を要する措置)の導入計画発表などを受けて、年初から一気に上昇。ただし、このところは再び頭打ち状態に。10日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は2万5642回で、7日移動平均は2万4746回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(74.67%)、70〜79歳(81.28%)、80歳以上(68.04%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港政府牌照事務處による抜き打ち検査で客22人の防疫規定違反が発覚した九龍・旺角地区にあるクラブ施設(資料)=2022年6月10日(写真:news.gov.hk)

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