マカオ市中でオミクロンBA.5の感染拡大続く…単日71人増、6/18以降の累計299人に=3回目の全市民PCR検査実施へ
- 2022/6/26 19:41
- 社会・政治
マカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。
今回の流行は、感染力が非常に強いとされるオミクロン変異株派生型の「BA.5」によるものとされ、人口密度が極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月26日午後5時から会見を開き、今回のアウトブレイクに関する各種最新情報を発表。
26日午前0時までにPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は、直近24時間で71人(一般市中57人、隔離対象14人)増え、6月18日以降の累計261人に。内訳は女性158人、男性103人、年齢8ヶ月〜89歳。また、症状あり(感染確認)が66人、無症状が195人。加えて、26日午前0時以降、会見までの間に新規で38人の陽性が明らかになっており、累計は299人とした。
疫学調査を通じ、陽性者は暫定的に10のグループに大別されるとのこと。前日から2グループ増。このうち最多なのが、マカオ半島中央部の新橋エリアにあるアパート「艷麗大廈」の同じ部屋に居住する海外労働者群(すべてミャンマー国籍)と関連する102人の第1グループ、次いで、艷麗大廈の道路を隔てて向かいにあるアパート「達昌大廈」と関連する70人の第2グループ。10あるグループのうち、7つのグループの間には接点があるとされているが、3つのグループについては他グループとの明瞭な関連性が見つかっていないという。いずれのグループにも属さないケースが20人おり、調査が続けられている。
これまでに隔離の対象とされた人の数は7830人に上っている。前日から622人増。内訳は陽性者261人のほか、濃厚接触者が982人、非核心濃厚接触者(陽性者と居合わせた)が5363人、二次濃厚接触者が292人、一般接触者が296人、付き添い人が636人。
マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが複数回にわたって実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至っている。当局では、オミクロンBA.5は感染力とステルス性が高く、多くのスクリーニング及び高効率の疫学調査によってリスク対象者を隔離することが防疫対策上の鍵になるとし、27日から28日にかけて3回目の全市民PCR検査を実施することを明らかにし、検査会場で迅速抗原検査キットとKN95フェイスマスクを各人に5個ずつ配布するとした。
複数の陽性者が出現したことで局地ロックダウン(封鎖及び外出不可)対象とされる場所(ビル及び店舗単位)も次々と出現している。また、レストランのイートイン営業が禁止(テイクアウトに限った営業は可)、映画館やフィットネスクラブなど屋内エンターテインメント・レジャー施設も閉鎖に。政府部門や銀行の窓口の休業も7月1日まで延長され、当局は民間企業についてもテレワークなどを活用し、人流減に協力するよう呼びかけた。なお、局地ロックダウンの対象となった場所を除いて、市民の外出は可能な状況となっているが、政府は伝播リスク軽減のため、不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。25日からは公共路線バスの間引き運転(路線により4〜60%減)が開始されたほか、警察官の巡回を増やし、人の集まる状況を発見した場合に帰宅の呼びかけを強化も行われるようになった。なお、カジノ施設については、局地ロックダウンとなったホテルフォーチュナ内の施設を除いて営業を継続している。カジノ監理局にあたるDICJによれば、カジノ入場にあたって48時間以内のPCR検査陰性証明及び毎日の迅速抗原検査陰性結果の提示を求める措置を講じ、カジノ従業員はKN95またはN95規格のマスクを着用しているとのこと。
当局は会見の中で、外国のデータを参照すると、オミクロンBA.5は感染者1人から4〜7人に伝播する非常に強い感染力を持つとされ、今が感染拡大を抑える重要な時期となり、政府の呼びかけに応じ、不要不急の外出を控えてほしいと呼びかけた。また、当局として現段階で一刀両断的なロックダウンを実施する考えはなく、必要に応じて局地的な封鎖にとどめるとした。今回の流行における陽性者の分布について、初期にはマカオ半島の中央から中央やや北寄りのエリアで多く出現したが、目下のところマカオ半島の北部一帯に移っているという。