マカオの新型コロナ6・18アウトブレイク累計陽性者数が533人に…大多数が軽症か無症状=6/29
- 2022/6/29 19:15
- 社会・政治
人口約68万人のマカオでは、約8ヶ月にわたって新型コロナの市中感染確認例ゼロを維持していたが、6月18日深夜以降、陽性者の出現が続いている。(以下、「6・18アウトブレイク」と表記)
6・18アウトブレイクは、感染力が非常に強いオミクロン変異株派生型の「BA.5.1」が市中へ流入(感染源不明)し、急速に伝播が拡大したものとされ、1平方キロメートルあたりの人口密度が2万人超と極めて高いマカオにとって、大きな脅威となっている。発生から10日以上が経過し、さまざまな防疫策が講じられる中だが、依然として市中陽性者の増加ペースは落ち込んでいない。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは6月29日午後5時から会見を開き、6・18アウトブレイクに関する各種最新情報を発表。
29日午前0時までの直近24時間にPCR検査を経て陽性が確定した人の数(市中感染事例に限る)は70人(一般市中50人、隔離対象20人)で、内訳は女性280人、男性204人、年齢8ヶ月〜94歳、症状あり(感染確認)が121人、無症状が363人。また、29日午前0時以降、会見までの間に49人の陽性者(初歩陽性者)がいるとし、6月18日以降の累計は533人となった。このうち重症者は1人で、容体は落ち着いているとのこと。陽性者の大多数が無症状または軽症のため、仮設病院は現時点で稼働するに至っていないという。
マカオでは6月19日以降、全市民を対象とした義務的なPCR検査及び迅速抗原検査、さらには一部重点区域、重点人群に対象を絞った追加のPCR検査によるスクリーニングが複数回にわたって実施され、いずれも多くの陽性者の発見に至った。直近では、27日午前9時から28日午後6時の間に3回目の全市民PCR検査を展開。検査前に迅速抗原検査を各自で行い、結果が陰性の場合のみ会場へ向かい、陽性となった場合は同住者全員が自宅待機し、救急車を呼ぶよう求めた上で実施されたもの。すでに結果が判明しており、約65.2万人が受検し、混合サンプル(10人分の検体を1本とする方式)44本が陽性だったとのこと。3回目の全市民PCR検査を終えたばかりだが、29日と30日にそれぞれ1回ずつの迅速抗原検査実施が新たに要求された。29日午後3時までに27人から陽性報告が寄せられ、当局が反復PCR検査の手配などを進めているという。迅速抗原検査が本格展開された22日以降、159人の陽性者の発見につながった。当局では、29日の迅速抗原検査でも陽性報告があったことは、一般市中に伝播チェーンが存在することを反映したものであるとし、市民に対して各種厳格な防疫措置を講じている現状について、その必要性への理解を求めた。
複数の陽性者が出現したことで局地ロックダウンの対象場所(ビル及び店舗単位)も次々と指定されている。また、レストランのイートイン営業が禁止(テイクアウトに限った営業は可)、映画館やフィットネスクラブなど屋内エンターテインメント・レジャー施設も閉鎖に。政府部門や銀行の窓口の休業も7月1日まで延長され、当局は民間企業についてもテレワークなどを活用し、人流減に協力するよう呼びかけている。なお、局地ロックダウン対象場所を除いて、市民の外出は可能な状況となっているが、政府は伝播リスク軽減のため、不要不急の外出を控えるよう求めている。25日からは公共路線バスの間引き運転(路線により4〜60%減)が開始されたほか、警察官の巡回を増やし、人の集まる状況を発見した場合に警告を発するようになった。カジノ施設については、局地ロックダウン対象となっているホテルフォーチュナ内の施設を除いて営業を継続しているが、入場にあたって48時間以内のPCR検査陰性証明及び毎日の迅速抗原検査陰性結果の提示を必須とするなどの防疫措置が強化されている。
29日、衛生局関連で6人の陽性者が出現したことも明らかとなった。PCR検査の検体採取員、看護師、外注先の清掃員らで、26日、27日、28日の全市民PCR検査、重点人群対象PCR検査におけるスクリーニングで発見に至ったケースという。当局では、初歩調査の結果として、医療機関内ではなく市中での生活中に感染したものとの見方を示した上、院内感染の予防に最大限努めるとした。加えて、治安警察局と消防局でもそれぞれ5人、3人の陽性者が出現したとのこと。25日から予防措置として閉塞管理が講じられている高齢者介護施設における小規模クラスターの報告もあった。
このほか、中国本土で海外からの入境者の隔離検疫期間が大幅短縮(14日間から7日間へ)となったことを受け、現状10日間となっているマカオでも調整を実施する可能性が示唆された。