香港の新型コロナ新規感染確認者数が6日連続4千人超…増加傾向続く、現行ソーシャルディスタンス措置延長へ=7/26

 人口約740万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が7月26日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から69人増の3975人、輸入性は77人増の301人だった。

 市中と輸入性の合計は前日から146人増の4276人。6日連続4千人超となった。第5波開始以来の累計感染確認数は約131.8万人。

 医管局からの新規死亡報告数は6人(男女各3人、84〜97歳)、第5波開始以来の累計死亡者数は9265人に。また、最新の入院患者数は1425人で、容体別では危篤が31人、深刻が227人などとのこと。

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いており、少なくとも8月10日までは現状維持が決まっている。

 26日の学校からの陽性報告数は387校の524人で、内訳は生徒447人、教職員77人。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホーム、さらにこのところは医療機関からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 当局は流行第5波の現状について、新規感染者数は緩やかな増加中で、減少の兆候もないがピークにも達しておらず、ソーシャルディスタンス措置の再強化は望んでいないが、一層の緩和を実現する条件も整っていないとの見方を示した(政府は26日夕方の会見前に現行ソーシャルディスタンス措置の14日間の延長を発表済み)。加えて、市民に対して体調不良を感じたら医療機関を受診し、ワクチン接種がまだの場合は速やかに接種するよう、市民に対して協力を呼びかけた。このほか、変異株感染例が増えており、全体に占める割合はBA.2.12.1が3%、BA.4あるいはBA.5が1.8%に上るとするデータも明らかにした。

 7月25日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は92.9%(1回目の接種完了)、89.4%(2回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。25日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万2533回で、7日移動平均は1万1687回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(77.08%)、70〜79歳(82.12%)、80歳以上(69.82%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

ソーシャルディスタンス措置緩和後にクラスターが発生した火鍋店の換気状況等を視察する香港環境・生態局局長(中央)ら=2022年7月25日(写真:news.gov.hk)

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