香港の新型コロナ新規感染確認者数が21日連続4千人超…近日入院患者増=8/11

 人口約730万人の香港では、昨年(2021年)12月末から新型コロナウイルス感染症の流行「第5波」が続く。

 2月から3月にかけて、オミクロン変異株派生型のBA.2(いわゆる「ステルスオミクロン」)による伝播が主となり、市中における新規感染確認数が急増し、医療崩壊に直面するなど深刻な状況となった。3月下旬以降は緩やかな減少が続いたが、長く単日200〜300人程度でこう着状態を維持した後、6月中旬から目立ったリバウンドが出現している。

 香港衛生当局が8月11日夕方の会見で発表した内容によれば、同日午前0時時点集計の単日の新規市中感染確認数は前日から164人減の4180人、輸入性は53人減の196人だった。

 輸入性の感染例の発見に至った検査地点・タイミングは空港が68人、隔離検疫ホテルが98人、隔離検疫期間を満了して市中に出た後が30人。10人以上となった国・地域別は、英国(28人)、インド(21人)、米国(14人)、シンガポール(12人)、タイ(12人)。

 市中と輸入性の合計は前日から217人減の4376人で、21日連続4千人超。第5波開始以来の累計感染確認数は約138.9万人。このところオミクロンBA.4/BA.5ととBA.2.12.2の感染例が増えており、過去7日間の新規感染確認例に占める割合は前者が10.7%、後者が7%という。

 新規死亡報告数は1人(85歳女性)で、第5波開始以来の累計死亡者数は9342人、死亡率は0.68%に。死亡者のうち80歳以上が6600人超に上り、80歳以上のワクチン接種回数別の死亡率は3回接種済みの1.03%に対し、未接種は16.12%と大きな差があるとのデータも示された。

 直近の公立病院の入院患者数(新型コロナ感染者)は1542人で、このうち新規の入院患者が210人とのこと。容体は危篤が23人、深刻が27人など。医管局は、直近2日間の新規入院患者数が200人超となり、数週間前の数十人レベルと比較して心配な状況とした。また、11日の新規感染例のうち過半数が60歳以上、20人以上が3歳以下で、いずれも抵抗力が低い年齢層にあたり、感染した場合の重症化や死亡リスクが高く、高齢者及び子供の保護者に対し、速やかにワクチンを接種するよう呼びかけた。(接種率データ後述)

 香港では、4月から段階的に水際措置を緩和して以降、輸入性の感染例が連日出現しており、オミクロン変異株派生型の感染者も相次ぎ見つかっている。3月下旬以降に一旦流行状況が安定したことを受けて、4月中旬から5月中旬にかけて学校の対面授業再開、ソーシャルディスタンス措置の緩和(第一段階及び第二段階)が進んだ。

 ただし、5月19日のソーシャルディスタンス措置の第二段階緩和でバーの営業が再開可能となって以降、複数のバーで大規模なクラスターの発生が相次いだほか、隔離検疫ホテルで発生した交差感染をきっかけに市中でのオミクロンBA2.12.1の伝播につながったケースなどもある。こうした状況や6月中旬以降のリバウンドを踏まえ、ソーシャルディスタンス措置の一層の緩和は見合わせが続いている。

 11日の学校からの陽性報告数は231校の287人で、内訳は生徒230人、教職員57人。過去7日間で2人以上の陽性者が出現した学校の数は121校。6月中旬頃からは対面授業再開初期の平均水準を大きく上回る状況。学校のみならず、高齢者介護施設などグループホーム、医療機関からの陽性報告も相次いでおり、小規模なクラスターも出現している。

 8月10日時点の香港の3歳以上の人口におけるワクチン接種率は93.1%(1回目の接種完了)、89.8%(2回目の接種完了)、68.7%(3回目の接種完了)となっている。接種率は昨年後半にかけて伸び悩んでいたが、流行第5波の深刻化を受け、年初にかけて一気に上昇。ただし、一旦状況が落ち着き、こう着状態となって以降は再び頭打ち状態に。10日単日の接種回数(1〜4回目の接種合計)は1万5004回で、7日移動平均は1万5996回。年齢層別の接種率(1回目の接種完了)では、3〜11歳(78.07%)、70〜79歳(82.28%)、80歳以上(70.1%)が大きく平均を下回っており、高齢者に対する訪問接種サービスを展開するなどの接種率向上策が講じられている。

香港特別行政区のイメージ(資料)—本紙撮影

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