中国本土では、比較的早い時期に新型コロナの封じ込めに成功し、以降は全国的には安定した状況となり、散発的な市中感染確認例が度々出現する程度だったが、今年（2022年）に入って以降はオミクロン変異株の流入を受け、上海や北京といった主要都市を含む一部地域で比較的大規模な再流行が発生した。

　中国の国家衛生健康委員会（NHC）が11月15日朝に公式サイト上で公表した情報によれば、同月14日の中国本土における新規市中感染確認者数は1621人（前日から126人減）だったとのこと。内訳は広東省586人、北京市303人、重慶市157人、河南省149人、内モンゴル自治区84人、四川省84人、山西省46人、陝西省40人、雲南省37人、新疆ウイグル自治区28人、浙江省17人、貴州省13人、江蘇省12人、福建省9人、山東省8人、青海省8人、湖南省7人、河北省6人、甘粛省6人、黒竜江省5人、チベット自治区4人、天津市3人、安徽省3人、遼寧省2人、湖北省2人、海南省2人。このうち広東省の413人、四川省の18人、雲南省の16人、甘粛省の6人、陝西省の5人、山西省の4人、浙江省の4人、重慶市の3人、北京市の1人、内モンゴル自治区の1人、黒竜江省の1人、湖南省の1人、海南省の1人の計474人が無症状から感染確認へ転じた事案。

　市中の無症状感染例は1万6151人（前日から1826人増）。内訳は広東省5047人、重慶市2794人、河南省2138人、内モンゴル自治区1247人、甘粛省819人、新疆ウイグル自治区771人、河北省529人、青海省517人、黒竜江省371人、雲南省248人、四川省243人、湖南省215人、山西省214人、陝西省187人、山東省171人、北京市159人、安徽省87人、湖北省77人、天津市73人、江蘇省61人、貴州省36人、浙江省35人、広西チワン族自治区23人、江西省19人、遼寧省18人、チベット自治区17人、上海市16人、福建省12人、寧夏回族自治区6人、海南省1人。

　無症状を含む新規感染者数は1万7772人で、10日連続増。また、5日連続1万人超えとなり、上海市での大規模なロックダウンをはじめ、各地で目立った再流行が出現していたおよそ半年前と同水準。

　11月14日24時時点の中国本土で治療中を受けている感染確認者数は1万4473人（うち輸入性が538人）で、重症者は21人（輸入性ゼロ）。無症状の患者10万6375人（輸入性1013人）が医学観察下にあるとのこと。

　11月14日に新規感染例の報告があった省市区の数は全31のうち30で、前日から1減。このうち広東省（5633人）、重慶市（2951人）、河南省（2287人）、内モンゴル自治区（1331人）の4省区が4桁に上ったほか、甘粛省（825人）、新疆ウイグル自治区（799人）、河北省（535人）、青海省（525人）、北京市（462人）、黒竜江省（376人）、四川省（327人）、雲南省（285人）、山西省（260人）、陝西省（227人）、湖南省（222人）、山東省（179人）の12省市区が3桁に。依然として多くの省市区で患者が出現する状況が続く。

　香港・マカオに隣接する広東省では、しばらく落ち着いた状況が続いた後、8月初旬以降は連日複数の感染例が出現。10月下旬から急増している。14日の新規感染者数は前日から985人増の5633人で、大半が広州市からの報告例。同市の流行はオミクロンBA.5.2によるものとされる。市当局は14日午後の会見で、前週から相次いで社会面（隔離対象ではない一般市中）における管理強化措置を講じており、増加傾向はスローダウン気味との見方を示した。省内その他は珠海市、中山市、仏山市などからの報告例。

　このほか、近日感染拡大が続いた河南省では、2千人台前半まで減少。大半が鄭州市からの報告例で、およそ200人が社会面から発見に至ったケース。オミクロンBF.7が流行しているとされる北京市では5日連続3桁となり、社会面から発見に至ったケースも67人に上った。

　中国本土の状況は総じて落ち着いている一方で、香港では昨年末から流行第5波が続いており、直近の単日新規感染者数は5千人前後で推移。9月26日からは入境時の義務的隔離検疫も不要となり、事実上ウィズコロナに転換したといえる。マカオについては長期にわたって市中感染確認数ゼロの落ち着いた状態を維持。こちらは中国本土に倣ってゼロコロナ政策を堅持する方針を示している。なお、マカオ市中では14日に2人の陽性者（輸入性及び輸入関連性）が相次いで出現したが、当局は市中伝播リスクは低いとの見方を示した。

マカオとの陸路の玄関口のとなる広東省珠海市の拱北出入境ゲート（資料）—本紙撮影