マカオローカルの失業率が4.5%まで改善…2022年10〜12月期

 マカオ政府統計調査局は1月27日、昨年(2022年)10〜12月期の雇用統計を公表。総体失業率が3.5%、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者、いわゆるローカル)に限った失業率は4.5%だった。

 どちらも前回調査(昨年9〜11月期)から0.2ポイント(pt)下落(良化)。不完全雇用率についても0.4pt下落の3.9%に。

 マカオでは中国本土に追随してゼロコロナ政策を堅持してきた経緯があり(※ただし昨年12月初旬に事実上ウィズコロナへ転換)、インバウンド依存度の高いマカオ経済は長期低迷を余儀なくされている。ローカルの失業率は昨年6月中旬から8月初頭にかけてオミクロンBA.5のアウトブレイクが発生し、準ロックダウンを含む極めて厳格な防疫措置が講じられたことと新卒者の労働市場への投入時期が重なったことにより、6〜8月期に過去最悪の5.5%を記録。以降は改善が続いているものの、依然としてリーマンショックの影響があった2009年以来の高水準が続く状況。その後、1月8日にウィズコロナへ完全移行し、水際措置が大幅緩和されたことで、以降はインバウンド旅客が急回復しており、人材需要にも好影響が及ぶと予想される状況。

 昨年10〜12月期のマカオ居住の労働人口は37.34万人、労働参加率は68.5%。就業人口は前回調査から1700人減の36.02万人で、マカオ居民に限ると900人減の28.11万人。

 失業人口は前回調査時から800人減の1.32万人。新たな職を探す失業者については、直前までカジノ・カジノ仲介業と建設業に従事していた人の数が多くを占めた。失業人口の中で初めての職探しをする人が占める割合は0.6pt上昇の12.0%。

 不完全就業者数は1800人減の1.44万人。業界別では、カジノ・カジノ仲介業、ホテル・飲食業、建設業が多くを占めた。

 同年第3四半期との比較では、総体失業率(3.5%)とマカオ居民に限った失業率(4.5%)が0.5pt、0.7ptのそれぞれ下落。就業人口は2800人減、マカオ居民に限ると1100人増で、年末にかけて多くの大型イベントが開催されたことに伴うローカル人材需要の増によるもの。業界別の就業人口動向では、リテール業(3.63万人)とカジノ・カジノ仲介業(6.76万人)が3100人、1200人のぞれぞれ増だった一方、運輸・倉庫業(1.45万人)は2500人減。就業人口の月給中位数は1万5600パタカ(日本円換算:約25.1万円)、マカオ居民に限ると1万9000パタカ(約30.5万円)で、1600パタカ(約2.6万円)、2000パタカ(約3.2万円)のそれぞれ増。

 就業調査の統計対象はマカオ半島、タイパ・コロアン島にある住宅の居住者(学生寮や高齢者入所施設等のグループホームを除く)で、域外からマカオへ越境通勤するマカオ居民及び海外労働者は含まれない。出入境資料を元にマカオ居民及び海外労働者の越境通勤者数は約8.50万人と推計され、これを含むマカオの総労働力は前回調査から4000人減の45.84万人。

 昨年通期の総体失業率は3.7%、マカオ居民に限った失業率は4.8%で、前年から0.8pt、0.9ptのそれぞれ上昇。就業人口の月給中位数は1万5000パタカ(約24.1万円)、マカオ居民に限ると1万9000パタカ(約30.5万円)で、800パタカ(約1.3万円)、1000パタカ(約1.6万円)のそれぞれ減。

マカオ居民の就業を支援するため毎月開催されているレジャー企業ジョブマッチングフェアのイメージ(写真:DSAL)

 マカオで雇用の調整弁となっているのは海外労働者で、コロナ禍で厳しい経済情勢の中、マカオ政府労工局(DSAL)はマカオ居民の雇用の継続と優先就業を確保するため海外労働者数の調整を行っていることを明らかにしている。DSALの最新統計によれば、昨年11月末時点における海外労働者数は15万4648人で、前月末から1471人増、前年同月末から1万6263人減だった。

 また、DSALは1月27日に発出したプレスリリースの中で、コロナ禍において、ジョブマッチングやジョブフェアの開催、職業訓練等の開催などを通じて、マカオ居民の就業サポートに継続的に取り組んできたとした。昨年通期でマカオ居民6288人の就職をサポートしたほか、直近では、水際措置の大幅緩和により観光業を中心に人材需要が増えており、今年も積極的にジョブマッチングイベント等の開催を通じてローカルの就職を促進するとのこと。

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