マカオ、カジノ業界の人材需要低迷続く…2022年第4四半期

 マカオは面積約32平方キロ、人口約68万人という小さな地域(中国の特別行政区)だが、およそ40軒のカジノ施設が軒を連ねるほか、競馬、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。

 マカオ政府統計調査局は3月6日、昨年第4四半期(2022年10〜12月期)のゲーミング(カジノ含むギャンブル)業界における人材ニーズ及び給与調査統計を公表。なお、本統計の調査対象にはカジノ仲介業(ジャンケットプロモーター)及びカジノ仲介業パートナーは含まれない。

 昨年第4四半期末時点のフルタイムのゲーミング業従事者数は前年同時期から2665人減(4.9%減)の5万2147人。カジノディーラー職に限ると685人減(2.8%減)の2万3271人だった。

 昨年12月のフルタイムのゲーミング業従事者の平均月額報酬(賞与等臨時給含まず)は同年6月から1.8%増、前年同月から0.1%減の2万3680パタカ(日本円換算:約39.9万円)。カジノディーラー職に限ると前年同月から1.1%減の1万9800パタカ(約33.4万円)。

 マカオのゲーミング業界における昨年第4四半期末時点の空きポジションは前年同時期から45枠減のわずか13枠にとどまった。

 求人条件については、要業務経験が92.3%、要高等教育学歴が30.8%。また、要中国語(いわゆる北京語)と要英語がいずれも76.9%を占めた。

 昨年第4四半期の新規雇用者数は99人、離職者数は803人で、従業員雇用率は前年同時期から横ばいの0.2%、離職率は0.6ポイント上昇の1.6%、欠員率はほぼゼロまで落ち込み、引き続き業界における人材需要の低迷が続く状況を反映したものとなった。

 なお、昨年第4四半期のマカオの労働人口は37.34万人、就業人口は36.02万人、総体失業率は3.5%。ゲーミング業従事者がマカオの就業人口に占める割合は単純計算で14.5%となる。平均月収については、昨年第4四半期のマカオの就業人口全体の月給中位数である1万5000パタカ(約25.3万円)を大きく上回った。

 マカオでは、2020年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う入境制限を含む防疫措置の強化等によってインバウンド旅客数が低迷し、カジノ売上を直撃。昨年通期のカジノ売上は前年比51.4%減の421.98億パタカ(約7111億円)で、2004年以来で最少となり、コロナ前2019年水準の2割弱にとどまった。ただし、昨年12月から事実上のウィズコロナに転換し、水際措置の緩和が進んだ結果、今年に入って以降インバウンド旅客数が急回復しており、カジノ売上にも波及している状況。

防疫対策を講じた上で営業を続けるマカオのカジノ。ディーラーによるチップ消毒作業の様子(資料)=2022年6月(写真:GCS)

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ市政署(IAM)は11月25日、コロアン島のコロアンビレッジにある路環街市(コロアン公設市…
  2.  マカオ政府財政局が11月22日に公表した最新の財政収支資料によれば、今年(2024年)1〜10月…
  3.  マカオ特別行政区政府民航局(AACM)は11月22日、同局と中国(本土)民用航空局、香港特別行政…
  4.  澳門海關(マカオ税関)は11月22日、治安警察局及び消防局と合同でマカオの4つの陸路イミグレーシ…
  5.  マカオの主要な空の玄関口・マカオ国際空港の運営会社にあたる澳門國際機場專營股份有限公司(CAM)…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun