ジャストサイズで街ナカの好立地も…マカオ国際空港は使える?

マカオ国際空港概要

マカオ国際空港(写真:MGTO)

 マカオの空の玄関口、マカオ国際空港が元気だ。昨年(2014年)の旅客輸送量は前年比9%増の548万人、発着回数は5.3万回となり、1995年の開港以来最多を記録している。

 マカオ国際空港はタイパ島の北西にある24時間空港で、車でコタイ地区の各リゾートまで10分、マカオ半島中心部でも15分ほどという好立地にある。地図で見ると滑走路部分が大きく海にせり出しているのが特徴的で、すぐに見つけることができるだろう。ちなみに、この滑走路の長さは3420メートルあり、ジャンボジェットの離着陸も可能。

大きく海にせり出した滑走路が特徴的=本紙撮影

 2015年4月現在、マカオ国際空港へ乗り入れする航空会社は24社、就航都市は39都市となっている。LCC(格安航空会社)も多い。マカオ国際空港と日本を結ぶ直行便は、マカオ航空1社のみの就航で東京(成田)線が週4便、大阪(関西)線が週7便となっている。お隣の香港国際空港と比較すると圧倒的に選択肢が少ないことから、香港国際空港経由でのマカオ入りを検討する方が多いのが現状だ。しかしながら、実際には直行便以外にも中国本土や台湾を経由してマカオ国際空港に直接入るルートの存在はあまり知られていない。

 今回、あらためてマカオ国際空港を利用するメリットに焦点を当ててみたい。

街ナカにある空港、とにかく移動がラク

空港のすぐ隣に広がるコタイ地区のカジノIR(統合型リゾート)施設群=本紙撮影

 空港ウェブサイトでも「エアポート・イン・ザ・シティ」と銘打っている通り、マカオ国際空港の何よりも便利な点は市街地への距離が近いこと。タクシーを使えば、コタイ地区の主要リゾートホテル群まで5〜10分(タクシー料金500円前後)、マカオ半島の新口岸地区でも15分(同1200円前後)だ。タクシー以外にも、マカオ各地へ向かう路線バス、一部リゾートホテルの無料シャトルバスといった交通機関が利用できる。

市街地までの距離がとにかく近いのが魅力(写真:MGTO)

 一方、香港国際空港を経由する場合、香港とマカオの間を移動するという手間を要する。香港国際空港とマカオを直接結ぶフェリーも運航しているが、本数が限られていること、乗継ぎに要する時間が長いことなどがネック。時間的、金銭的、体力的にキツイという声もよく聞かれる。

 マカオ国際空港からの直接の出入りであれば、到着時、出発時ともに移動がとにかくラクなのだ。

ジャストサイズのターミナルビル、まず迷わない

出発フロアの外観(写真:MGTO)

 昨年のマカオ国際空港の旅客輸送量が過去最高を更新したといっても、お隣の香港国際空港のたった10分の1、日本との比較では国内9位の鹿児島空港とほぼ同じ規模となる。

出発ゲート前の待合室(写真:CAM)

 マカオ国際空港のターミナルビルのサイズはたいへん小振り。端から端まで見渡せるといっても過言ではなく、ほとんど迷うことはないのが良いところ。香港国際空港の場合、まずチェックインカウンターを探すのがたいへんな上、そこから搭乗ゲートまでの移動もけっこうな距離を歩くことになる。マカオ国際空港では、そもそもチェックインカウンターの数が少なく、出境手続き、搭乗ゲートの距離も近い。余裕を持って空港に到着すると、あっという間に搭乗ゲートに着いてしまい、時間を持て余してしまうほど。

 到着時も、入境審査場の列は短いことが多く、預け入れ手荷物の受け取り、出口、タクシー乗り場の移動もびっくりするほど近い。

必要にして十分な設備

搭乗ゲート付近に並ぶ免税店=本紙撮影

 空港内の設備は近年かなり充実が進んでおり、ようやく国際空港と呼べるにふさわしいレベルに達したといえる。飲食店は一般エリア、制限エリアともに、カフェやしっかりお腹を満たして時間もつぶせるレストランが複数ある。制限エリアの免税店は、ファッションブランドや時計・ジュエリー店こそないが、コスメティック、お酒、タバコ、土産(アーモンドクッキー等)を取り扱うショップが並び、十分見て回る価値のあるレベル。

制限区域内にあるレストランとカフェ(パシフィックコーヒー)が入るフードパラダイス(写真:CAM)

 「空港=免税店でのショッピング」という考え方も根強く、ブランド店がないのは残念と思われる方もいると思うが、そもそもマカオは市街でも免税(タバコなど一部品目を除く)だ。著名ブランドのほとんどが大型モールに出店しているので、わざわざ空港の免税店に期待しなくても良い。なお、タバコは空港内免税店の方が市街より安い。

 制限エリア内には、2014年に世界の主要空港に展開する設備充実の「プラザプレミアムラウンジ」がオープン。「プライオリティ・パス」が使え、一般客でも利用料を支払えば利用可能となっている。このほか、制限区域内には両替所、喫煙所などがある。もちろん、ターミナルビル内は無料でWi-Fiが利用できる。

経由便を使ってマカオ入りする方法も

マカオと日本を結ぶ直行便を運航するマカオ航空機(写真:マカオ観光局)

 日本からマカオへ渡航する場合、直行便はマカオ航空の東京(成田)線と大阪(関西)線に限られる。マカオ航空と全日空がコードシェアを行っており、国内線との乗り継ぎも考慮されている。このほか、東京、大阪以外の就航都市も多い上海、台北、ソウルなどを経由してマカオ入りするルートもある。経由地での乗り継ぎを要するが、香港とマカオの間をフェリーで移動する手間と比べると格段にラク。LCCを組み合わせるということもできる。

デメリットは?

マカオ航空の東京(成田)、大阪(関西)直行便は全日空とのコードシェア便=本紙撮影

 日本と香港を結ぶ路線にはレガシーキャリア、LCCを含め、多くの航空会社が就航しており、競争も激しくなっているため、マカオへの直行便または経由便と比較して割安な料金が出てくることも多い。航空券の金額だけで単純比較すると香港に軍配が上がるが、香港国際空港とマカオを移動するのにかかる金額と、時間や労力といったロスをじっくり見極める必要がある。

 航空会社のマイレージサービスという観点では、現時点でマカオ国際空港に就航するワンワールド陣営はゼロだ。ワンワールド陣営ならキャセイパシフィック航空が本拠地とする圧倒的に香港国際空港に強い。マカオ国際空港の場合、マカオ航空が全日空とマイレージ提携しているほか、台湾のエバー航空やエアチャイナ(中国国際航空)といったスターアライアンス陣営が就航している。

面倒ではあるが、飛行機を間近に見られるのも「沖止め」ならでは=本紙撮影

 マカオ国際空港では、ボーディングゲートの数が少ないため、出発便、到着便が「沖止め」となることが多い。専用バスに乗って飛行機とターミナルビルの間を行き来するが、少々面倒と感じる。特に、暑い、寒い、雨といった気象条件の場合はなおさら。飛行機を間近で見ることができるため、航空ファンには逆に嬉しいかもしれない。

今後の利便性向上に期待

空港付近で進む「マカオLRT」の建設工事=本紙撮影

 マカオ国際空港の最大の利点は市街地に近い空港であること。タクシーだけでなく、路線バスも24時間走っているが、リゾートホテルの無料シャトルバスは一部施設に限られ、運航本数もそれほど多くない。渋滞の多いマカオでは、定時到着性も問題だ。目下、マカオ初となる軌道系交通機関の「マカオLRT(新交通システム)」の建設工事が進められている。工事が遅れているものの、これが開通すれば、交通アクセスは一気に向上する。

 また、マカオ国際空港の隣では、新たな海の玄関口としてタイパフェリーターミナルの整備が進められている。現在、仮施設での運用だが、本ターミナル完成後、マカオ国際空港と連絡橋で直結する計画という。タイパフェリーターミナルを発着する珠江デルタ各都市とのネットワーク化に期待される。

 香港国際空港と比較して、マカオ国際空港の発着枠には余裕があるといい、日本との直行便の増便や、LCCが新規就航するとの報道もある。ターミナルビルの拡張工事も進められており、選択肢が増える可能性に着いても現実的といえるだろう。

*記事の内容は取材当時(2015年5月)のものです。

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