香港で日系企業を狙った詐欺事件の発生続く…現地日本総領事館が累次の注意喚起

 在香港日本国総領事館は7月13日、現地在留邦人向けの一斉メール配信を通じ、日系企業を狙った電話詐欺事件に対する注意喚起を行った。

 同館では、これまで累次にわたって注意喚起を行ってきたが、その後も同様の手口による詐欺事件が複数発生しているという。

 同館が把握している最近の電話詐欺の事例として、日本が祝日かつ当地は平日である日(日本の本社への事実確認が困難になる)に電話詐欺が発生する事例が増えているとのこと。令和5年の今後の日本の祝日かつ当地が平日である日は、海の日(7月17日)、山の日(8月11日)、敬老の日(9月18日)、スポーツの日(10月9日)、文化の日(11月3日)及び勤労感謝の日(11月23日)となっている。

 注意喚起メールに記載された詐欺事件の手口と被害防止に向けた取り組み等(一部編集)は以下の通り。

1 電話詐欺のよくある手口
・日本本社の社長を名乗る人物より電話有り。
・日本本社の電話番号が着信番号として表示される。
・日本語が流暢であるため、電話している人物は日本人と思われる。
・駐在事務所の経理財務責任者が狙われている。
・電話の内容は雑談から始まり、「M&A交渉のため指定の弁護士と連絡をとって、必要額を本日中に指定口座に振り込んで欲しい」というもの。
・極秘事案のため、本社への確認のための電話・メールは一切止めて欲しいという釘刺し有り。また、日本が祝日かつ当地は平日である日(海の日(7月17日)、山の日(8月11日)など)が狙われる傾向がある。
・当地法人の電話受付担当の現地社員から日本人駐在員の財務責任者の携帯電話番号を聞き出す(自分から電話があったことは誰にも言わないようにと口止め有り)。

2 被害防止に向けた取り組み
・電話で口座振込の指示を受けたら、先ず第三者(社内の担当者、総領事館、香港警察の詐欺相談ホットライン(連絡先等は下記5参照)など)に相談する。
・自らが把握している連絡先を基にして、電話をかけてきた人物本人又は担当部署に連絡し、事実を確認する(着信番号には架電しない)。
・社員(現地職員を含む)に対して上記電話詐欺の手口等を周知し、防犯意識を高める。

3 電話詐欺の事案例
(1)事案1
 日本が連休期間中である日に日本本社の社長を名乗る人物から同社香港支店に連絡があったもの。本社社長を名乗る人物からは、出金について確認があり、日本人駐在員の財務責任者の携帯電話番号を聞き出したとのこと。財務責任者は、電話の内容等から詐欺だと判断し、また、本物の日本本社社長に電話した事実がないことを確認できたことから詐欺であることが発覚した。なお、同日、同社の他の海外拠点においても、同様の電話詐欺が発生していた。
(2)事案2 
 日本本社の社長を名乗る人物から電話があったもの。現地職員が電話を取ったが、あまり声を聞く機会がなかったため信用した。現地職員に対して経理関係の担当者に電話を転送するように言われる。日本本社の社長を名乗る人物からは、今、秘密裏に重要な会議を行っていると前置きし、その担当者がネットバンキングの決裁権限があるか聞かれる。担当者は、社長を名乗る人物の声と口調に違和感を覚え、決裁権者は本社にいるはずと回答すると、直接決裁権者に連絡すると言って電話は切れた。念のため、すぐに日本本社に報告し、関係部署が確認したところ、社長は自席におり香港支店に電話をかけていないことがわかり、詐欺電話であることが発覚した。

4 発生状況(総領事館把握分)
 2023年4月~6月:1件
 2023年1月~3月:1件
 2022年10月~12月:4件
 2022年7月~9月:0件
 2022年4月~6月:4件
 2022年1月~3月:2件
 2021年10月~12月:4件
 2021年7月~9月:2件
 2021年4月~6月:4件

5 香港警察の詐欺相談ホットライン
  電話番号:18222(緊急の場合:999)
  24時間対応(英語、広東語、普通語対応)
  ADDC(Anti-Deception Coordination Centre)ホームページ(最新の詐欺手口等が紹介されている):https://www.adcc.gov.hk/en-hk/alerts.html 

 このほか、過去の同館からの電話詐欺に関する注意喚起の内容は同館ホームページ内「その電話、詐欺かも!?」コーナー(https://www.hk.emb-japan.go.jp/itpr_ja/scam_call.html)で確認することができるとのこと。同館では、より一層注意すること、また同様の事案が発生した際には同館及び本社の担当部署に知らせるよう呼びかけた。

日本国駐香港総領事館(資料)=本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  2.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…
  3.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営する澳門輕…
  5.  マカオ政府統計調査局は11月20日、今年(2024年)1〜9月の小売業販売額調査結果を公表。 …

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  5.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…

注目記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年11月号
(vol.137)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun