マカオ、建設中・設計段階のホテルは17軒、約5000室分…2023年2Q

 近年、マカオでは新興埋立地のコタイ地区及びマカオ半島の新口岸地区を中心に大型カジノIR(統合型リゾート)、ホテルを含む複合ビル等の建設ラッシュが続く。コロナ禍でやや遅延が生じたものもあったが、計画そのものに目立った変化はないようにうかがえる。

 マカオ政府土地工務局は7月31日、今年第2四半期(2023年4〜6月)時点で建設中のホテルが9軒、設計段階(5年以上更新のないプロジェクト含まず)のものが8軒あり、供給客室数は前者が3732室分、後者が1308室分に上るとする最新データを公表。今年第1四半期と前年同時期との客室数を比較すると、建設中のホテルで5.13%減と21.22%減、設計段階で横ばいと24.09%減に。(エリア別内訳は文末のデータ参照)

 マカオ政府統計調査局の最新資料によれば、今年6月末時点で営業中のホテル数は前年同時期から10軒増の131軒、客室供給数は15.7%増の4.30万室となっている。(※新規開業ホテルに加えてコロナ禍で隔離検疫用ホテルとなったホテルが通常営業に復帰したことが数値を押し上げた)

 今年6月末時点で営業中の上記数値に建設中及び設計段階の数値を加えると、将来的にホテル数が148軒、客室供給数が4.9万室で、ホテル数が約13%増、客室供給数が約14%増という規模となる。

大型統合型リゾート(IR)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の町並み(写真:MGTO)

 マカオのホテル開発をけん引するのがカジノIR運営会社だ。今年1月に新たなカジノ運営コンセッション(10年間)がスタートしたばかりで、事業者の顔ぶれは従来と変わらず。すでに着手していた新ホテルのオープンの加え、新コンセッション下で既存ホテルの大規模改修や新設など新たな計画が出てくる可能性もありそうだ。

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IRに加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られ、2019年の年間インバウンド旅客数は過去最多の約3940万人、平均客室稼働率は90.8%に上った。

 しかしながら、コロナ禍に見舞われた2020年以降はインバウンド旅客数の減に伴うホテル客室稼働率の低迷が続いた。昨年通期のインバウンド旅客数は前年から26.0%減の570万0339人、平均ホテル客室稼働率は11.7pt下落の38.4%だった。

 なお、マカオは昨年12月から事実上のウィズコロナ政策に転換し、今年1月8日に水際措置が大幅緩和された。以降、インバウンド旅客数は急回復し、ホテル客室稼働率も大幅に改善が進む状況。最新統計によれば、今年1〜6月累計の客室稼働率は前年同時期から40.3ポイント上昇の78.0%、ホテル宿泊客数は130.1%増の604.9万人に上った。

【資料】
2023年第2四半期時点で建設または設計段階のホテルデータ(エリア別)
<マカオ半島>
・建設中:7軒 924室
・設計段階:6軒 550室
<タイパ島>
・建設中:なし
・設計段階:1軒 301室
<コタイ地区>
・建設中:2軒 2808室
・設計段階:なし
<コロアン島>
・建設中:なし
・設計段階:1軒 457室

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ市政署(IAM)は11月21日、マカオ半島のギアの丘(松山)に位置する史跡「松山軍用隧道(…
  2.  マカオ政府衛生局(SSM)は11月22日夜、同日マカオ域内で輸入性デング熱感染を新たに1例確認し…
  3.  マカオ治安警察局は11月21日、他人の身分証を使用してカジノへ入場した上、賭博で獲得した得たポイ…
  4.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  5.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  3.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  3.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun