マカオ政府、居民への現金配布17年連続実施へ…2024年度カジノ税収回復で財政均衡

 世界最大規模のカジノ売上を誇る都市として知られるマカオ。カジノ税という潤沢な財源を抱え、莫大な財政準備を誇るマカオ特別行政区政府は、インフレ対策や富の還元を理由に2008年から居民(マカオ居民IDカード保有者)に対する現金配布を毎年実施している。

 コロナ禍で財政赤字となった2020〜2023年度についても、新型コロナ経済支援措置として現金配布は維持された。

 マカオ政府は11月1日、マカオ立法会に来年度(2024年度)の財政予算案を提出。ビジネス環境及び雇用市場の改善が続き、経済回復の見通しも楽観視できる状況にあることを挙げ、来年度の歳入を約1071億パタカ(日本円換算:約1兆9992億円)、歳出を約1059億パタカ(約1兆9768億円)とし、約12億パタカ(約224億円)の黒字を見込む内容となった。

 また、予算案には現金配布を含む居民に対する還元策が継続して盛り込まれた。具体的な支給額は未定。

 マカオ政府の居民に対する現金配布の実施は17年連続となる。支給額は永久性居民(永久居留権)と非永久性居民(臨時居留権)で異なるが、永久性居民の場合、これまで16年間の累計受給額は13.4万パタカ(約250万円)に上る。

 マカオの財政均衡は2020年以降で初めて。アフターコロナでインバウンド旅客数が急回復し、勢いを持続する中、来年度予算案では歳入の大黒柱的存在のカジノ税収の算出根拠となるカジノ売上見込みが2160億パタカ(約4兆0332億円)に設定されたことが大きい。2020〜2023年は1300億パタカ(約2兆4274億円)に設定されたものの、クリアできたのは今年(10月終了時点でクリア)のみ。コロナ禍では財政準備(超額分)から補填が行われた。

マカオ特別行政区による現金配布で市民に郵送された小切手のイメージ(資料)=本紙撮影

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