マカオ、中国人の男女2人を香港ドル模擬紙幣絡む両替詐欺で逮捕…成功報酬目当てで関与か

 マカオ司法警察局は12月15日、「練功券」と呼ばれる銀行員のトレーニング用の香港ドル模擬紙幣を用いた両替詐欺を行ったとして中国人(中国本土出身)の男女2人を逮捕したと発表。

 同局によれば、同月13日夜、被害者がSNSのチャットアプリのグループチャットを通じて両替相手の男Aと連絡を取り、タイパ島にあるカジノ併設ホテルで会う約束を取り付け、待ち合わせ場所へ到着した後、相手の男と一緒に現れた女Bと両替交渉を行ったという。交渉がまとまり、女が指定した金額、19万人民元(日本円換算:約380万円)を相手方指定の銀行口座へ送金した後、女から”20万香港ドル”として受け取った2束、200枚の額面1000香港ドルの紙幣に違和感を感じたため、相手方2人をカジノのキャッシャーへ同行させ、ゲーミングチップへ両替しようとしたところ、すべて練功券だったことが明らかとなり、警察へ通報するに至ったという。

 同局の調べに対し、男Aは両替に必要な手元資金が不足していたため、他人に依頼して女Bを呼んで取引を行うことにし、成功報酬を受け取ることになっていたと説明。女Bは、成功報酬目当てに他人から託された紙幣を持って両替に臨んだとし、いずれも当該紙幣が練功券とは知らなかったと供述したとのこと。同局では、2人を相当巨額詐欺罪で検察院送致する方針。

 マカオのカジノでプレイする際には主に香港ドルが用いられることから、中国本土から人民元を持ち込む旅客にとって香港ドルとの両替が必要となるケースがある。

 練功券は通貨としての価値がなく、一般に流通しているものではない。これまでもマカオではこれを用いた詐欺事件がしばしば発生していたが、今年10月下旬以降からは頻発している状況で、同局が累次の注意喚起を行っている。

 昨今マカオのカジノ施設内外においては換銭党が暗躍し、これにまつわる各種犯罪も頻発しており、警察当局が換銭党を社会及びカジノにおける治安悪化の元凶と位置付け、度々大規模掃討作戦を展開するなど、取り締まりを強化して臨んでいるほか、インバウンド旅客に対して詐欺被害を避けるため正規ルートでの両替を行うよう呼びかけている。

12月13日に発生した模擬紙幣に絡む両替詐欺事件の証拠品(写真:マカオ司法警察局)

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