香港におけるデジタル人民元の実証実験範囲拡大

 香港金融管理局は5月17日、香港におけるデジタル人民元の実証実験範囲を拡大し、香港の携帯電話番号のみを用いて香港で個人用デジタル人民元ウォレットを開設・利用できるようになると発表。

 なお、当該ウォレットはクロスボーダー決済に用いることができるが、個人間送金はできないという。

 デジタル人民元は中国人民銀行がデジタル形式で発行する法定通貨で、利用にあたって中国人民銀行デジタル通貨研究所が開発したアプリをダウンロードし、中国本土の商業銀行が運営するデジタル人民元ウォレットを選択する必要がある。

 香港金融管理局によれば、香港は中国本土以外で初めてデジタル人民元ワレットを開設できる地区で、また同局の「FPS(ファストペイ)」についても中国人民銀行のデジタル通貨システムにリンクした初のファストペイシステムとなり、香港のユーザーはFPSを通じてウォレットのトップアップができるとのこと。

 また、現在のところ香港のクロスボーダー実証実験には中国銀行、中国交通銀行、中国建設銀行、中国工商銀行の4つのデジタル人民元ウォレット運営機関が参加しており、ウォレットの残高上限は1万元(日本円換算:約22万円)、1回の決済限度額は2千人民元(約4.4万円)で、中国本土の実証実験地区(2024年4月末時点で17省市26地区)にある1千万以上の実店舗と一部オンラインショップで利用できるという。

 香港のデジタル人民元ウォレット利用者は中国本土の銀行に口座を開設することなく香港の17のリテール銀行からFPSを使って人民元をトップアップでき、このうち11の銀行では香港ドル口座から両替を経てのトップアップに対応するとのこと。

 同局では、デジタル人民元の使用は香港及び中国本土居民に安全、便利、革新的なクロスボーダー決済手段を提供するものとし、同局として今後も中国人民銀行と協力し、実名認証による香港居民向けデジタルウォレットのアップグレートの可能性を詐欺るほか、より多くの小売業者にデジタル人民元の受け入れを促し、企業の利用シーンを模索していくとした。

香港の町並み(資料)=本紙撮影

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