マカオ、2024年上半期の犯罪件数が前年同期比14.6%増…コロナ前2019年水準も上回る=詐欺事案増が主要因

 マカオ政府保安司司長弁公室は9月16日に会見を開き、今年上半期(2024年1〜6月)の犯罪統計及び法執行状況に関する総括レビューを発表した。

 今年上半期のマカオにおける総犯罪件数(犯罪捜査着手数)は7160件で、前年同時期から14.6%増だった。コロナ前2019年同時期との比較でも3.5%増に。

 マカオ政府保安司の黄少澤司長は、総件数増加の要因として詐欺事案、中でも電話詐欺が依然として増加傾向にあることを挙げ、重大暴力犯罪、薬物犯罪、カジノ関連犯罪、窃盗、強盗等の民生に影響を及ぼすカテゴリーについてはコロナ前から顕著に減少しており、警察による抑止と取り締まりが奏功しているとの考えを示した。

 今年上半期の電話詐欺事案は188件で、前年同時期から29件増、2019年同時期から152件増。このうち政府機関の職員を騙る手法が8割近くを占めた。ネットワーク詐欺は408件で、前年同時期から59件増、2019年同時期から279件増となり、主な手法はオンライン投資、(コンサート等)チケット販売詐欺、オンライン通販詐欺など。サイバー犯罪は312件で、うち263件がクレジットカードのオンライン決済絡み。オンライン上で裸の写真をばら撒くなどと恐喝する事案は28件で、2019年同時期より多かったものの、前年同時期からは20件減。黄氏は警察として今後も予防、回収、取り締まりを組み合わせた管理モデルを深化させ、詐欺犯罪の抑止に全力を尽くすとともに、市民に自らの財産を守る責任の一環として詐欺防止対策への参加を促していきたいとした。

 また、同氏はマカオのゲーミング(カジノ)産業が治安情勢に与える影響の評価について、ゲーミング関連犯罪における各カテゴリーの犯罪発生件数に大きな変化があり、コロナ前と比較して不当占有が大幅増、詐欺についても若干増加している一方、コロナ前に大きな割合を占めた高利貸しや監禁は大幅減だったことを挙げ、今年上半期のゲーミング関連犯罪件数は2019年比で明らかな減、ただし前年より多く、警察はすでにターゲットを絞った一連の抑止、取り締まりに着手しており、目下の治安情勢については比較的安定し、コントロール可能な状況とした。

 このほか、同氏は今後の見通しとして、インバウンド旅客数の回復、流動人口の増加が続く中、強盗、窃盗、ゲーミング関連犯罪リスクが高まる可能性があるとの見解を示し、保安当局は引き続き地域社会の治安情勢の変化を中しするとともに、犯罪データ・特徴の分析を進め、潜在的な不確定要素に対する高度な警戒体制を維持し、市民と旅客の生命と財産を守るため、適宜対策を調整して臨むとした。

2024年上半期のマカオ犯罪統計及び法執行状況に関する総括レビュー会見の様子。中央が黄少澤マカオ保安司司長=2024年9月16日(写真:GCS)

関連記事

最近の記事

  1.  総合不動産サービス企業のJLL(仲量聯行)は9月19日、およそ4年半ぶりとなる米国の利下げを受け…
  2.  マカオ政府環境保護局(DSPA)は9月19日、同局が2017年から展開している「電子・電器設備回…
  3.  香港に隣接する広東省深セン市で9月18日朝、日本人学校に通う児童が登校中に刺されて負傷する事件が…
  4.  マカオ金融管理局(AMCM)は9月19日、政策金利にあたる基準金利を50ベーシスポイント引き下げ…
  5.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(澳門輕軌)」タイパ線の媽閣駅延伸部が12月8日に開業。マカ…
  2.  マカオ・コタイ地区にある大型IR(統合型リゾート)「スタジオ・シティ(新濠影滙)」運営会社は1月…
  3.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  シンガポール発の国際ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」がマカオ初進出することがわかった。カペ…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  日本政府は8月22日、早ければ同月24日にも東京電力福島第一原発におけるALPS処理水(以下、処…
  5.  マカオは面積約30平方キロ、人口約68万人の小さな街だが、コロナ前には年間4000万人近いインバ…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年9月号
(vol.135)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun