今年(2014年)7月1日からマカオのカジノフロア内の宝飾店、質店で銀聯カードが使用不可となるとの話題がメディアを通じて盛んに報じられている。実際、マカオ金融管理局から店舗に対して6月中に端末を取り外すよう要請が出されているとの報道もあるが、当局から具体策に関する公式コメントは発表されていない。
6月11日付の地元有力紙「澳門日報」によると、フォーブス誌の報道を引用する形でマカオのゲーミング大手SJMホールディングス関係者が、当局からカジノフロア内の宝飾店、質店に対して7月1日までに銀聯カード端末の取り外すよう要求が出されていることを認めたと伝えている。銀聯カードは中国で広く普及しているデビットカードの一種。
現在のレギュレーションでは、中国本土からマカオを含む外地へ持ち出せる現金は1人1あたり1回2万人民元(日本円換算:約32.8万円)までと決まっており、マカオのATMで現金を引き出す際の上限額も1日1万人民元に制限されている。そういった状況の中、マカオマカオのカジノフロア内にある宝飾店で銀聯カードを使って高級腕時計などを購入し、すぐに質入れして現金化するという方法が用いられてきた。今回の措置によって、今後このやり方が使えなくなる公算だ。
しかしながら、あくまでもカジノフロア内の店舗を対象としていることから、カジノフロアを出てすぐのところにあるホテル共用部やモール部にある店舗については従来通りのサービスを継続でき、影響はそれほど大きくないものと見られる。また、カジノ内で銀聯カードを使った現金化を必要とするギャンブラーはマスゲーミングフロアの顧客で賭け金自体はそれほど大きくなく、人数もそれほど多くないとの見方もある。VIPカジノのメンバーについては、現金やゲーミングチップを用立てする別の手段も複数存在するといわれているからだ。
なお、法律ではカジノフロア内における宝飾店、質店の営業は認められておらず、グレーゾーンとされている。マカオ当局はマネーロンダリング対策として今後も中国本土とマカオの間の不透明な資金の出入りを阻止したい意向で、今後追加でどのような措置が講じられるか、また、それに伴うゲーミング売上への影響についても大きな注目を集めている。