カジノ売上7月も下落続く―VIPから平場へ主役交代進む

7月に入り、W杯が決勝トーナメントを迎えたことに加え、多くの緊縮措置が導入されたことについて、マーケットではマカオのゲーミング(カジノ)産業に対する影響に関心が高まっている。関係者によると、ここ数日のカジノは明らかに閑散となり、その理由をW杯、さらに中国本土の不動産マーケットの軟調に伴うキャッシュフロー不足、中国中央政府による反汚職対策などの複合要因とし、7月のカジノ売上は先月からさらに減少するとみている。

7月14日付地元有力紙「澳門日報」が伝えた。同じ関係者は現在いくつかのVIPクラブ(ジャンケット業者)が債務問題を抱えており、先の仲介人による資金持ち逃げ事件の後、投資家による資金の引き上げが進んでいるという。これによって、VIPクラブの運営に支障が出ており、閉鎖を余儀なくされる業者も出てきており、今年末から来年にかけて2割程度のVIPクラブが淘汰されるのではないかと予想する。

CLSAの研究レポートによるち、今年(2014年)のマカオのカジノ売上の成長を第1季が20%増、第2季は大幅減速の5%増と予想しているが、マスゲーミング(平場)の力強い伸びにより売上、利益の増長は見込めることから、第2季のEBITDAを14%増と見込む。

同レポートでは現在のマカオ市場では供給が限られていることから、カジノ売上の復活は下半期以降にゆっくりしたペースになるだろうとし、現状を打破して持続的な成長が見込めるのは来年(2015年)下半期の新カジノリゾート開幕以降とみている。また、カジノ売上予測を下方修正する一方で、利益率への影響は軽微としている。マカオの第2季のカジノ売上が減速し、中国本土経済の失速や反汚職対策、仲介人による資金持ち逃げ事件といったVIPルーム運営に対するマイナス要因が続いていることが投資意欲を減退させ、VIPクラブのネットウィンは下落していることから、今後ゲーミングテーブルをマスゲーミングフロアへ移すことなどが考えられるという。

シティはW杯が6月のカジノ売上に影響を及ぼしたことから、今年のVIPルームの成長予想を2.5%増からマイナス1%へと引き下げた。マスゲーミングフロアは35%増で不変としている。総体カジノ売上は13%増から11%増へと予想を下方修正している。

JPモルガンチェースは第2季のカジノ売上について前年比5%増、直前期比11%減と予想し、このうちマスゲーミングフロアについてはそれぞれ33%増、2%減、VIPルームについては6%減、16%減、ローリングチップ数は3%減、14%減としている。また、第1季のVIPルームの勝率を約2.91%と試算した。

同社では、ジャンケット業者の減少、中国本土の資金収縮、W杯などが及ぼす影響がマスゲーミングと比較してVIPルームで大きいとし、第2季は利益率の高いマスゲーミング業務が拡大するものとみる。今後、マスの伸びがマカオのゲーミング業の利益率改善として反映されるとしている。

JPモルガンチェースでは第2季のマカオカジノ株のEBITDAは前年比14%増、前期比9%減と予想。同社はW杯の終了後、ローリング率は上昇に転じ、間もなく始まる夏休みシーズンにはマスゲーミングの売上も伸長、ジャンケット業務も回復するとし、下半期には売上の改善により、マカオ株の成長につながるものとみている。

マカオのカジノ(写真はイメージ)―本誌撮影

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