カジノ売上2か月連続減も不動産価格堅い―マカオ

過去数年のカジノ売上の急速な上昇に伴う経済成長により、不動産価格も急上昇を遂げた。今年(2014年)6月、7月と2か月連続でカジノ売上が前年同月比でマイナスを記録したことで、マーケットでは不動産価格への影響の有無に注目が集まっている。

8月6日付地元有力紙「澳門日報」が報じた。マカオの不動産関係者によると、現在も不動産を手放す動きは見られないという。マカオの将来性を見越し、不動産価格は過去最高水準を強固なものとし、マカオ居民の貯蓄も安定して増加していることから、調整局面とはならないとの見方だ。

マカオ政府でカジノ行政を担当する博彩監察協調局が発表した今年6、7月のカジノ売上はそれぞれ前年同月比3.7%、3.6%減となる272.15億パタカ(日本円換算:約3,491億円円)、284.15億円(約3,645億円)で、1日平均カジノ売上は9.07億パタカ(約116億円)、9.16億パタカ(約118億円)で、2か月連続で2009年以来の前年割れだった。

カジノ売上減が不動産マーケットに与える影響の有無について、不動産価格はすでに過去最高水準まで上昇しており、香港との価格差も縮まりつつある状況、さらに、今後数年内に複数のポジティブ要因が見受けられることから、不動産価格は今後も堅調に推移するもとの不動産関係者は見ているという。

同関係者によると、不動産価格の上昇率については過去2年間で落ち着いており、一部の大型開発物件に関して価格が高騰している状況や、そもそも取引量が少ないため、指標として用いること自体が難しいともしている。

マカオ金融管理局が発表した今年6月のマカオ居民の預金総額は前月から2.1%増の4,739億パタカ(約6兆794億円)となり、富の蓄えが進んでいることを現している。来年以降、次々に新規の大型カジノリゾート施設のオープンを控え、不動産取引量の増が見込まれること、不動産を維持できる経済力が強まっていることから、手放さずに継続保有したいと考える人が多いとみられる。

マカオ政府ではここ数年の間に数々の不動産価格抑制策を打ち出してきたが、価格の上昇は続いている。しかし、不動産価格に対する住宅ローン貸付可能割合の引き下げにより高リスク投資を避ける施策は、不動産マーケットが仮に減速しても経済への影響を最小限にとどめる手だてとして有効だったといえる。

マカオの不動産マーケットでは取引量はそれほど多くないが、中・小型物件への関心が高まっているという。上述のローン貸し付け抑制策の下、こういった物件では80〜100万パタカ(約1,026〜1,283万円)の頭金から投資を行うことができるため、今後取引が増えると予想されている。

不動産マーケット(写真はイメージ)―本紙撮影

不動産マーケット(写真はイメージ)―本紙撮影

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