韓国、第3四半期VIPカジノ市場で一人勝ちも死角あり=マカオから流出の中国人ギャンブラーの消極的受け皿に

マカオのカジノ売上が今年(2014年)6月以来、6か月連続の前年割れとなり、1-11月の累計カジノ売上は前年比で辛うじて0.2%増にとどまっている。

マカオメディア「論盡媒體(All About Macau Media)」は12月4日の電子版で、外資系機関が実施した今年第3四半期のVIPカジノの取引量調査において、マカオが前年同期比19%減、シンガポールが24%減、ラスベガスが6%減と苦戦している中、韓国が41%の急上昇となり一人勝ちの様相だと報じている。

同社の報道によると、マカオを訪れていたVIPカジノ顧客が韓国へ流出したとの見方だ。その理由として、マカオと比較してカジノ以外の観光要素が充実している点、富裕層の多い中国東北部と近い地理的優位などを挙げている。

しかし、カジノの規模、世界遺産や食文化、ショッピングといった観光資源に関して、マカオがはあきらかに韓国を上回っており、言語面での不安もないマカオが中国人ギャンブラーにとって居心地の良い場所ということはあきらかだ。本紙がマカオのVIPルーム関係者やカジノ産業に詳しい識者への取材を通じて得た情報を総合すると、中国本土で反汚職キャンペーンによる綱紀粛正ムードが漂う中、同じ中国に属するマカオで遊びにくくなったというのが本音のところのようだ。たまたま、距離的に近いカジノのある外国が韓国で、そこに顧客が流れただけという消極的な理由だ。

現在、中国と韓国の二国間関係は良好な時期とされている。しかし、中国人ギャンブラーが韓国でギャンブルに投じた金は、韓国のものとなる。一方、マカオで投じた金は、マカオ、すなわち中国内に留め置くことができるという考え方もある。中国経済が減速する中、中国当局がみすみす海外への資金流出を放置するだろうか。マカオは中国で唯一のカジノ都市であり、マカオの停滞は中国の横琴新区や港珠澳大橋といった周辺で展開する広東省や香港を巻き込んだ国家プロジェクトへの影響も懸念されるため、中国のメンツにも関わるトピックともいえる。

中国との関係が決して良好とはいえないフィリピンのカジノの場合、中国が自国のギャンブラーの渡航を事実上制限していたとの情報もあり、こういったことが何らかのきっかけで韓国に対しても起こりうるのか、今後、中国の出方が注目される。

中国人にとって、距離的に近い外国といえば、日本または韓国となる。現在、韓国にギャンブラーが流出している要因は、韓国にはカジノがあるからだ。マカオのVIPルームで中国本土のギャンブラーを担当するカジノホスト役に話を聞くと、韓国のカジノを訪れたことのある客から、食事や観光の体験談は一切聞いたことがないといい、カジノのあるIR(統合型リゾート)施設からほとんど外へ出ていないのでは、と指摘する。また、マカオには中国人ギャンブラーをターゲットにした高級日本料理店は多数あるが、韓国料理店の数は圧倒的に少ないことを例に挙げ、そもそも中国人の間で韓国料理といえばキムチくらいしか知られておらず、刺身や寿司、懐石料理といった洗練された高級イメージの日本食への憧れの方が強く、実際にアテンドを希望する客も多いとのこと。最近、このカジノホストが受け持つ常連客がマカオのVIPクラブを訪れる回数、賭ける金額も少なくなっているというが、仮に自身の客が韓国のカジノへ流出したとしても、それはあくまでも一時的避難場所にすぎず、いずれマカオへの帰って来るはずで、今は我慢の時期だと語った。

カジノチップとバカラのゲーミングテーブルのイメージ(資料)—本紙撮影

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