一国二制度定着=中国全人代委員長がマカオを高評価

中国・北京市の北京展覧館で12月8日、マカオ特別行政区15周年成就展が開幕した。開幕式に先立ち、同日午前、全国人民代表大会常務委員会の張徳江委員長とマカオ特別行政区の崔世安行政長官による会談が行われた。張徳江委員長は中国共産党の党内序列3位にあたる人物。

張委員長は会談の中で、マカオの返還後15年間の安定した社会、経済繁栄、民生の改善など、各分野での実績を評価。中央政府の正確なリーダーシップと本土の大きな支援の下、これまでマカオを率いた2人の行政長官の手腕、市民による努力と協力による賜物であるとした。また、中央政府は成果に対して満足しており、全国の人民も高く賞賛していると述べ、高い評価を与えた。

また、マカオ基本法、一国二制度がマカオ市民の心へ深く根付き、マカオ社会の主流な価値観として定着したとし、今後も安定した繁栄を持続することを祈願するとした。

観光都市のマカオには、年間約3000万人の観光客が訪れるが、そのおよそ7割を中国本土からの旅客が占める。さらに、電気、水道といったライフライン、食料品や日用品の多くも中国本土からの輸入に頼っており、中国依存度が極めて高い状態。マカオ市民の間でも、良し悪しは別として、中国の存在なしにマカオ経済は成り立たないとの現実的な考え方が広がっている。

返還後15年間で、マカオのGDPはおよそ7倍、月額平均給与もおよそ2倍に、カジノ税を財源とした市民への手厚い福利厚生策で富の還元も実施されており、社会に対する不満が少ないことも挙げられる。中国に対する目に見えた反発などもなく、マカオは中国の「優等生」といわれているのはそのためだ。中央政府もマカオ向けの優遇策を次々と打ち出し、まさに蜜月関係といえる。

今回、中央の大物がマカオを大絶賛したことについては、同じ特別行政区の立場にある香港に対する牽制とも受け止めることができるだろう。香港ではしばしば中国に対する反発が発生し、現在もデモ隊による道路占拠が続いている。香港はマカオと異なり、経済、社会格差の拡大といった問題が顕在化している。

中国・全国人民代表大会常務委員会の張徳江委員長(右)とマカオ特別行政区の崔世安行政長官(左)=12月8日、中国・北京市(写真:GCS)

中国・全国人民代表大会常務委員会の張徳江委員長(右)とマカオ特別行政区の崔世安行政長官(左)=12月8日、中国・北京市(写真:GCS)

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