マカオ政府が「南京事件」追悼式典を開催=中国が今年初めて記念日化、華僑系団体による反日写真展も
- 2014/12/13 17:15
- 澳日関係
マカオ政府は12月13日午前、中国の「南京事件」国家追悼日に合わせ、政府主催による記念式典をコロアン島のマカオ保安部隊高校グランドで開催。崔世安マカオ行政長官、マカオに駐在する人民解放軍及び中央政府出先機関の幹部、マカオの各界代表者らおよそ200名が出席した。
南京事件追悼記念日(正式名称:南京大屠殺死難者国家公祭日)は、9月3日の抗日戦勝記念日(同:中国人民抗日戦争勝利紀念日)と並び、今年(2014年)2月27日に中国の全国人民代表大会常務委員会で公祭日化が通過、決定したもの。マカオ政府は9月3日にも抗日戦争記念行事を開催している。
南京事件は、日中戦争初期の1937年に旧日本軍が中国・南京市(当時の中華民国の首都)をめぐる攻略戦において、中国軍の便衣兵、敗残兵、捕虜、一般市民などを殺害したとされるもの。事件の存否、死者数など、日本と中国それぞれで考え方は諸説あり、論争が続いている。
マカオ市街中心にある塔石体育館でも、同日から中国の華僑系団体、中華全国帰国華僑連合会(中国僑連)主催による反日写真展「血塗られた歴史−アジア太平洋地区における日本軍国主義の罪」が開幕した。世界約60カ国の華僑が収集した第二次世界大戦期における旧日本軍の「罪深い行為」に関する史料及び写真など、およそ400点を展示するもの。15日までの3日間開催される。
第二次世界大戦時、中立国ポルトガル領だったマカオは直接戦火の影響を受けなかった。現在、マカオは中華人民共和国の一部であり、香港と比較してマカオは中国本土への依存度が高いことから、中央と歩調を合わせ「反日」政策を推進するのは当然のこと受け取ることもできる。一方、マカオは中国本土や香港と比較して「親日」の市民が多いエリアとしても知られていることから、今回の追悼式典、反日写真展が一般層の間でどれだけの共感を得られるかについても注目される。マカオ政府はスポーツや文化、ビジネス分野における日本との交流にも積極的であることも事実で、極端に反日政策一辺倒というわけではなく、全体的には友好的といえる。マカオ市民の日常生活の中では日本食、日本文化、日本ブランドに対する根強い人気もあり、マカオから日本を訪れる観光客も円安の進行とともに増えている。マカオの多くの市民の間では、政治的な愛国反日キャンペーンに対して冷静な見方をしているようだ。