マカオのカジノ売上が今年(2014年)6月以来、6か月連続の前年割れとなり、1-11月の累計カジノ売上は前年比で辛うじて0.2%増にとどまっている。中国本土で反汚職キャンペーンによる綱紀粛正ムードが漂う中、カジノ売上の大半を占めるVIPルームの主要顧客となる中国本土富裕層のマカオ渡航意欲が減退しているのがその理由のひとつとみられている。
米資産運用会社スターン・アジー社の関係者によると、マカオのカジノ付き大型IR(統合型リゾート)施設、シティ・オブ・ドリームズなどを運営するメルコ・クラウン・エンターテイメント(MCE)社のローレンス・ホーCEOがアナリスト向けの説明会の中で、現在のマカオのカジノ市場について、2008年の金融危機よりも深刻な状況にあるとの認識を示したという。マカオの月刊英字経済誌「マカオビジネス」は12月17日付の電子版で報じた。
ローレンス・ホーCEOは、前回マカオのカジノ業界が直面した2008年の経済危機の際、中国政府が「燃料」を投下して市場の活性化を図ったことで消費の戻りが早かったが、今回の反汚職キャンペーンが中国本土の富裕層に与えた心理的なインパクトは非常に大きく、消費に対して慎重な姿勢に傾斜しており、打開の糸口が見当たらないと述べたとのこと。
マカオのカジノ経済の調整期について、カジノオーナーが長期化も覚悟して臨んでいる現状が伺える。MCE社では、2015年にもマカオ・コタイ地区に大型IR施設、スタジオ・シティがオープン予定。一方、12月14日にフィリピンのマニラ市にシティ・オブ・ドリームズ マニラをテスト開業させたほか、西アジアのグルジア、極東ロシアのウラジオストックへの投資を行うなど、マカオ以外の拠点の開発にも積極的。日本のカジノ市場への参入計画についても前向きな姿勢を示していることでも知られる。