鉄火場からIR志向へ=マカオのカジノライセンス更新問題、来春から具体的検討開始

マカオの月間カジノ売上が今年6月以降、6か月連続で前年割れとなっており、今月に入って、マカオ政府もカジノ産業調整期に入ったことを公式に認めた。崔世安行政長官は12月20日、マカオ返還15周年記念晩餐会に出席した際、ノンゲーミング要素をバランスよく配した統合型リゾート(IR)への転換によるカジノ産業の「健全化」を進めることで、持続的成長が可能との考えを示した。

現在6社が保有するマカオのカジノ(ゲーミング)ライセンス(一部サブライセンス方式)が2020年、2022年に相次いで満期を迎える。崔行政長官は、来年(2015年)春から具体的な検討が進めると語り、初めて時期を明言した。ライセンス更新条件にノンゲーミング要素の拡充がどういった形で盛り込まれるのか、新規ライセンス発給の有無などに注目が集まる。

また、崔行政長官は、カジノ産業が調整期に入った理由として、国際環境及び政策との関連を挙げた。この発言の背景には、習近平国家主席就任後、中国本土の反汚職キャンペーンによる綱紀引き締めが強まり、マカオのカジノ売上の大半を占める中国本土のVIPカジノ客のマカオ渡航ブームに急ブレーキがかかった現状がある。

同日午前、マカオで演説を行った習近平国家主席もマカオ政府に対して経済多元化を推進するよう注文を付けた。来年春以降、カジノ産業の今後の方向性を検討する中で、これまで博打一辺倒だったカジノ(ゲーミング)への高依存体質を改め、ノンゲーミング要素の拡大による健全化、経済多角化策を加速させ、業界の再浮上を図るものとみられる。

マカオのカジノ運営会社6社の直近の業績をみると、最大手ながら本格的なIR施設を持たず、VIPカジノへの依存度が高いSJMグループが苦戦している中、IR志向の強いサンズチャイナ、ギャラクシーエンターテイメント、メルコ・クラウン・エンターテインメントといった企業は比較的安定した結果を残している。

マカオ返還15周年記念晩餐会で演説を行う崔世安マカオ行政長官=12月20日、マカオタワー(写真:GCS)

マカオ返還15周年記念晩餐会で演説を行う崔世安マカオ行政長官=12月20日、マカオタワー(写真:GCS)

関連記事

最近の記事

  1.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  2.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…
  3.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営する澳門輕…
  5.  マカオ政府統計調査局は11月20日、今年(2024年)1〜9月の小売業販売額調査結果を公表。 …

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  4.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  5.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…

注目記事

  1.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年11月号
(vol.137)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun