香港小学生の将来の夢「金銭至上主義」広がる=保護者の会話や社会の空気に敏感?
- 2014/12/24 9:42
- 香港・大湾区
香港の日刊紙が実施した小学生を対象とした将来の夢に関する調査で、人気の職業トップは教師、2位が富豪・社長だった。また、4割が豪邸またはマイホームを理想の住まいと回答、全体的な印象としてお金に関する執着心が高いことが分かった。
香港の日刊紙「東方日報」が地元の小学校及び学童保育所で、小学2年生から6年生までの300人に対して「職業、住まい、収入に関する将来の夢」と題した記入式のアンケート調査を実施。12月23日付電子版で調査結果を発表した。
アンケート結果を見た心理学者によると、小学生たちは保護者の会話や社会に漂うムードに敏感で、耳年増になりがちだとし、保護者に対して金銭至上主義的な誤った考え方を子供たちに植え付けないよう注意する必要があると指摘した。
調査によると、将来就きたい職業トップは教師(15%)、2位が富豪・社長(10%)。以下、警察官(8%)、スポーツ選手(8%)、医師(7%)、歌手・タレント・モデル(6%)など。理想の収入は、月収1〜4万香港ドル(日本円換算:約15万5000円〜62万1000円)が26%、5〜10万香港ドル(約77万7000円〜155万4000円)が20%となった。
お金に対する執着も目立った。早く稼げるから財テクのプロになりたい(6年生)、マンションが買えるから大富豪になりたい(3年生)、テレビでベビーの健康はお金になると知り産婦人科医になりたいと思った、など。
住まいについては、4割が豪邸またはマイホームを理想とし、自由記入欄に香港の高級住宅街の具体的な地名を挙げる例も多かったという。また、海外へ移民したいとの回答が15%あり、移民先として米国、日本、台湾、韓国が候補として挙げられたという。
アーティストになりたいと夢見る小学生によると「香港では金融業が一番安定しているから、しっかり勉強をして投資銀行に勤めなさい」などと保護者から反対されたという。
香港のある小学校の校長は、香港の住宅事情を考慮すると、多くの一般家庭は狭い場所で窮屈な暮らしを強いられている現状があると話す。新築高級マンションなどの不動産広告プロモーションが街のあちこちで展開され、それを富の象徴と見なす傾向が強いと指摘。保護者に対して「お金よりも大事なものは何か」について、子供たちに語りかけるよう呼びかけた。