中国本土旅客であふれる香港、訪問制限の是非が議論に
- 2015/2/19 14:31
- 香港・大湾区
昨年(2014年)に中国本土から香港を訪れる旅客数はのべ4700万人に達し、前年からおよそ1割の増加となった。「水客」と呼ばれる買い出し客による日用品の大量の買い漁り行為、交通機関や観光地の混雑など、中国本土旅客と香港の地元住民との間でさまざまな摩擦が発生している。
マカオの日刊紙「澳門日報」が2月19日付紙面で報じた。香港の親中左派政党として知られる民建連の党首で、中国の全国政協委員を務める譚耀棟氏は、今後も中国本土から香港を訪れる旅客増は続くだろうとし、そろそろ香港の受け入れキャパシティを考えなくてはならない時期にあるとの考えを明かしたという。現在、香港と陸続きの位置にある広東省シンセン市の住民は一度の手続きで何度も香港を往来できるマルチビザを取得することができる。同氏によると、中国本土から香港を訪れる旅客の訪問頻度が非常に高く、およそ8割の旅客が1ヶ月に10回以上香港を訪れるという。同氏は訪問制限に回数制限を設けるなどの調整が必要ではないかとし、3月に北京で開かれる両会(全国人民代表大会及び中国人民政治協商会議)に出席する際に議題とする意向を述べた。
一方、香港政府旅遊発展局は訪問制限を求める動きに対して「観光業は香港経済の重要な支柱であり、数十万人の市民が観光業で系計を立てていることから、急な制限を実施された場合、香港経済と雇用に与える影響は甚大である」との声明を発表している。
香港、マカオはそれぞれ英国、ポルトガルから中国へ返還され、中華人民共和国の特別行政区となったが、以後も独自の入境管理や通関事務を行っている。2003年に中国本土から香港、マカオを訪れるための個人旅行ビザの発給がスタートした。