急増する中国本土からの爆買い客、地下鉄に「運び屋」専用車両導入提案へ=香港地方議会
- 2015/3/4 11:15
- 香港・大湾区
近年、中国本土から香港を訪れる旅客が急増している。昨年(2014年)中国本土から香港を訪れた旅客数は前年比16%増の4700万人となり、旅客総数の実に78%を占めた。
香港は北部の新界地区で中国広東省シンセン市と接しており、陸路のボーダーを経由して容易に往来することができる位置関係にある。また、広東省シンセン市の住民は一度の手続きで何度も香港を訪問できるマルチ(数次)入境許可証を取得することができることから、新界地区には中国本土から「水貨客」と呼ばれる仕入れと運び屋を兼ねた旅客が曜日を問わず大量に押し掛けている。
昨今、日用品などを買い漁る「爆買い」行為がエスカレートする中、生活必需品の品切れや価格高騰、繁華街や交通機関の混雑などに対する地元住民の不満も高まり、デモ行為や小競り合いといった摩擦もたびたび発生している。
複数の香港メディアが3月2日、3日にかけて相次いで報じた内容によると、新界エリアの地方議会にあたる北区区議会の交通運輸委員会が、大量の荷物を車内へ持ち込む「運び屋」による車内やホームの混雑による地元住民への負担軽減を図るため、香港の地下鉄運営会社MTRに対し、大型手荷物専用車両の導入を提案するという。
同委員会がコンサルティング会社に委託して中国ボーダーから香港北区の人口密集地を経由して都心部へ向かうMTR東鉄線の利用者1028人(97%が北区住民、78%が週に10回以上同線を利用)へのアンケート調査を実施した結果、ラッシュ時間帯について87%が車内混雑、71%がホームの混雑を感じていると回答を得たという。その大半が理由として運び屋の大型手荷物やキャリーによるスペース占拠を挙げた。香港では整列乗車が徹底されているが、運び屋による割り込みや、出入口付近の占拠による乗降不便、大きな荷物との接触による危険性などを指摘する声も上がったとのこと。
同委員会では、荷物棚などを整備した大型手荷物専用車両を列車の先頭または後尾に設置し、一般乗客と導線を分けることで、ホーム及び車内の混雑による安全性と快適度の向上が期待できるとしている。
現在、MTR東鉄線の列車は12両編成で運転しており、グリーン車にあたる「頭等(ファーストクラス)」と呼ばれる特別車を1両を併結している。通勤ラッシュ時の運転間隔はおよそ2.5分に1本。