飛び地に新設のマカオ大学校舎、17秒で柵越え可能=中国本土からマカオへの不法上陸拠点に

昨年(2014年)秋、中国トップクラスの教育機関を目指すとして鳴り物入りで開校したマカオ大学新キャンパスだが、中国本土からの不法上陸拠点になっていたことが大きな社会的関心事となっている。

マカオ大学新キャンパスはマカオと川を隔てて隣接する中国広東省珠海市の横琴新区に位置する。開校と同時に大学キャンパス敷地内がマカオ特別行政区の管轄範囲となり、いわば「飛び地」にあたる存在となった。キャンパスの外周はフェンスで囲まれ、出入口はマカオ・コタイ地区との間に新たに建設された河底トンネルのみとなっている。

しかしながら、キャンパス外周のフェンスを乗り越え、中国本土からマカオに不法上陸する事案が相次ぎ、越境の新名所として名を馳せてしまっているのが現状だ。

4月9日、マカオ立法会で2015年度の保安分野に関する施政弁論会が行われ、議員からこの問題について問われた保安庁の黄少澤長官が見解を述べる場面があった。黄長官は、当初の新キャンパスの設計に問題があったことを認めた上、教育機関である大学キャンパスを監獄のように高い塀や電流鉄条網で囲むことは望ましくないとの判断があったことを理由に挙げた。また、少し体力に自信があれば「17秒」で柵越えできる状態だったことも付け加えた。ただし、すでに改善を行い、中国本土当局との協力強化を図るなどの対策を進めているという。

マカオは1999年12月20日にポルトガルから中国へ返還され、中華人民共和国マカオ特別行政区となったが、以後も独自の入境管理や通関事務を行っている。2003年に中国本土から香港、マカオを訪れるための個人旅行者向け入境許可証の発給をスタートしたが、渡航頻度、滞在期限などに制限が多いことなどから、違法な就労やカジノ賭博、観光などを目的とした密航やオーバーステイが後を絶たない。不法行為を手引きする蛇頭も暗躍し、超過滞在者の隠れ家となる違法宿泊施設の存在なども社会問題化している。

マカオから川を隔てて対岸の横琴新区に位置するマカオ大学キャンパスを望む(資料)―本紙撮影

マカオから川を隔てて対岸の横琴新区に位置するマカオ大学キャンパスを望む(資料)―本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府衛生局(SSM)は11月22日夜、同日マカオ域内で輸入性デング熱感染を新たに1例確認し…
  2.  マカオ治安警察局は11月21日、他人の身分証を使用してカジノへ入場した上、賭博で獲得した得たポイ…
  3.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  4.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…
  5.  マカオを中心にアジア、欧州で統合型リゾート(IR)施設の開発・所有・運営を行うメルコリゾーツ&エ…

ピックアップ記事

  1.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  2.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  3.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  4.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  5.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…

注目記事

  1.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  2.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  5.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun