マカオで近年来初の破傷風感染確認=中国で転倒した際のケガが原因

マカオ政府衛生局は4月11日、マカオに住む82歳の男性が破傷風に感染していることが確認されたと発表。男性は現在鏡湖医院の集中治療室で治療を受けており、人工呼吸器が必要な状態であるものの、容体は落ち着いているという。

衛生局の調査によると男性は先月26日に中国本土を訪れた際、バス降車時に転倒し、左の手のひらに裂傷を負った。現地で簡単な応急手当を受けた後、マカオへ戻って仁伯爵綜合医院の救急外来で患部の縫合手術を受けた。その後も患部の腫れがひかず、今月6日になって口のしびれ、噛み合わせ困難といった破傷風独特の症状が現れはじめ、翌7日から鏡湖医院に入院。その後、今月9日になって一時呼吸停止になるなど容体が急変し、集中治療室へ移されていた。

破傷風は土壌中に生息する破傷風菌が傷口から体内に侵入し、菌が出す毒素によって全身の筋肉が痙攣を引き起こす感染症。潜伏期間は一般的に1〜2週間とされる。衛生局では、ケガをした際に傷口を徹底して清潔にすること、最も有効な予防法である破傷風ワクチン接種を受けるよう市民に接種を呼びかけた。

マカオで破傷風感染が確認されたのは届出伝染病統計がスタートした1987年以降で今回が初めてとなる。日本の国立感染症研究所の公表データによると、日本では1991年以降年間30〜50人が感染しており、致命率も20-50%と極めて高い。

顕微鏡で見た破傷風菌(写真:CDC=アメリカ疾病予防管理センター)

顕微鏡で見た破傷風菌(写真:CDC=アメリカ疾病予防管理センター)

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