米カジノ大手LVサンズ会長、マカオ政府に物申す=カジノ売上低迷長期化に苛立ち

ラスベガス、マカオ、シンガポールでカジノIR(統合型リゾート)施設を展開する米ラスベガスサンズ社のシェルドン・アデルソン会長が、長期化の様相を見せるマカオのカジノ売上低迷について、政府の対応に苛立ちを募らせているようだ。マカオのカジノ売上は昨年(2014年)6月から今年3月まで10ヶ月連続で前年割れとなっている。

マカオの英字日刊紙「マカオビジネスデイリー」が4月29日付紙面で関係筋の話として報じた内容によると、近日、アデルソン会長がマカオ政府当局者とのミーティングに出席した際、「カジノ売上低迷はマカオ政府に責任がある」とし、「低迷が長期化する場合、(ラスベガスサンズ社のマカオ部門にあたる)サンズチャイナ社のコスト削減に着手し、レイオフや興行数の削減なども辞さない考えだ」と直接的かつ強い口調で物申したという。

昨今のマカオのカジノ売上低迷は、特にVIPカジノにおいて顕著となっている。その要因について、2012年12月から本格化した中国本土の反汚職キャンペーンのほか、マカオ政府が昨年7月に実施した中国本土旅客に対するマカオ入境制限強化などが挙げられている。

サンズチャイナ社が4月16日に発表したプレスリリースによると、同社の従業員数は2万8000人となっている。マカオ政府統計調査局が4月28日に公表した今年第1四半期の就業人口は39万9500人であることから、単純計算でサンズチャイナ社の従業員数はマカオの就業人口のおよそ7%を占める。

サンズチャイナ社はマカオでカジノIR施設のサンズマカオ、ヴェネチアンマカオ、ザ・プラザ、サンズコタイセントラルを展開し、新施設としてパリジャン(2016年開業予定)の建設を進めている。「マカオビジネスデイリー」が4月3日付紙面で独自集計による結果として報じた記事によると、マカオでカジノ経営権を保有する6社のうち、サンズチャイナ社の今年3月のカジノ売上シェアは21.4%で2位となっている。

【資料】マカオの2015年月次カジノ売上(カッコ内は前年同月比)
・1月:237.48億パタカ=約3536億円(17.4%減)
・2月:195.42億パタカ=約2910億円(48.6%減)
・3月:214.87億パタカ=約3200億円(39.4%減)
>1〜3月累計:647.77億パタカ=約9646億円(36.6%減)
※データ出典:マカオ政府博彩監察協調局

ラスベガスサンズグループのシェルドン・アデルソン会長(資料)=2012年マカオにて撮影―本紙撮影

ラスベガスサンズグループのシェルドン・アデルソン会長(資料)=2012年マカオにて撮影―本紙撮影

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