歳入のおよそ8割(2014年実績)をカジノ税収が占めるなど、カジノがマカオ経済の屋台骨となっている。カジノ税収の算出根拠となるのが、カジノ売上(グロス・ゲーミング・レベニュー)で、税率は40%に設定されている。しかし、昨年6月から今年5月まで、月次カジノ売上は12ヶ月連続で前年割れとなっている。
マカオ政府では、昨年下半期以降の低迷を受け、今年度の月次平均カジノ売上の最低目標値を昨年の3分の2にあたる200億パタカ(日本円換算:約3079億円)に設定している。今年1〜5月の累計カジノ売上は1042.89億パタカ(約1兆6057億円)となっており、月平均では辛うじて目標値を上回っている状況だ。
市場では、今月(6月)前半のカジノ売上が予想を下回ったとされる。月末までおよそ10日を残すため結果は流動的だが、実績次第では政府が目標として設定した「警戒ライン」を下回る可能性が出てきた。
マカオ政府経済財政庁のライオネル・リョン(梁維特)長官は6月18日、地元メディアの囲み取材に応じた際、経験則では、ローシーズンにあたる6月のカジノ売上は5月と比較して2割程度低いとし、6月のカジノ売上が160億パタカ(約2463億円)程度まで落ち込むとの見方を示した。また、もし158億パタカ(約2433億円)以下となった場合、「警戒ライン」を下回ることから、緊縮財政に入る考えも明らかにした。なお、政府はすでに緊縮財政によるコスト削減案を準備しているとしたが、教育、医療、現金給付、公務員給与といった民生分野及び公共工事には手を付けないことを強調している。
【資料】2015年マカオの月次カジノ売上(カッコ内は前年同期比)
・1月:237.48億パタカ=約3656億円(17.4%減)
・2月:195.42億パタカ=約3009億円(48.6%減)
・3月:214.87億パタカ=約3308億円(39.4%減)
・4月:191.67億パタカ=約2951億円(38.8%減)
・5月:203.46億パタカ=約3133億円(37.1%減)
>1〜5月累計:1042.89億パタカ=約1兆6057億円(37.1%減)
※データ出典:澳門博彩監察協調局