マカオ行政長官を主席とする政策決定機関、マカオ行政会は6月30日、2012年に施行された「喫煙予防・抑制法」の改正案の内容を公表。カジノフロアの全面禁煙化など、大幅な規制強化が盛り込まれた。今後、改正案は立法機関にあたるマカオ立法会で審議される。
同法は2012年1月1日に施行され、室内公共場所の大部分が禁煙となった。猶予期間を経て2013年1月1日に対象がカジノフロアに拡大されたが、この際は喫煙可能ゾーンをフロア面積の半分以内とする条件付きの「分煙」だった。その後、2014年10月6日からマスゲーミングフロア(平場)が全面禁煙となり、フロア内に喫煙ルームが設置され現在に至っている。なお、VIPルームについては、現在も例外として分煙となっている。
今回の改正案では、VIPルームを禁煙化し、マスゲーミングフロアを含めた喫煙ルームの設置についても認めないとするもの。
目下、マカオのカジノ売上は昨年(2014年)6月から今年6月まで13ヶ月連続で前年割れとなっている。これに伴い、政府歳入のおよそ8割を占めるカジノ税収も大幅減が続き、今年1-5月の財政黒字は前年同期比で約55%減。こういった状況の中、全面禁煙化によりギャンブラーが競合カジノ国へ流出する可能性も指摘されており、カジノが大黒柱のマカオ経済に与えるマイナス影響が懸念されている。
6月30日に記者会見に臨んだマカオ政府衛生局の李展潤局長は、カジノ全面禁煙化が経済に及ぼすマイナス影響について、市民及びマカオを訪れる旅客の健康を最優先して考えるのが当然との考えを示している。
カジノ運営ライセンス保有全6社は喫煙ルームの設置を認めるよう訴えており、世論も賛否が二分している状況。立法会での議論も紛糾が予想され、審議の行方に大きな注目が集まっている。
なお、改正案ではカジノフロア全面禁煙化のほか、電子たばこ製品の販売禁止、屋外バス停周辺10メートル以内の禁煙化、小売店における商品パッケージが見えるかたちでの陳列の禁止、罰金の高額化などの規制強化も盛り込まれている。さらに、たばこ製品の免税持ち込み範囲の縮小についても、今回の改正案と歩調を合わせて立法会審議の準備を進めているとのこと。