マカオ、中国本土旅客対象のトランジット滞在制限を緩和=ギャンブラーが「裏技」として活用
- 2015/7/1 20:03
- 社会・政治
マカオでは、昨年(2014年)7月からトランジット滞在制度を活用したマカオ入境に対する制限強化が実施されたが、ちょうど1年の節目にあたる今日(7月1日)からほぼ制限強化以前のレベルに緩和となった。
マカオは1999年にポルトガルから中国に返還されたが、以降も独自の出入境管理を行っている。中国本土籍の旅客がマカオを訪れる際、個人渡航者向け入境許可証を取得するのが一般的だが、およそ2〜3ヶ月に1回といった形で一定期間内の入境回数などに制限が設定されている。しかし、トランジット滞在制度はこういった制限の影響を受けない「裏技」の入境方法として広く認知され、実際に利用されてきた。
トランジット滞在制度はマカオを経由して中国本土と第三国・地域との間を往来する旅客のために設けられた「通過ビザ」に相当するもの。マカオ治安警察局の資料によると、2013年には約210万人の中国本土旅客が第三国、地域のビザを添付した中国パスポートを利用してマカオに入境したという。このうち8割が実際にはビザ発給国、地域へ渡航せず、マカオ滞在のためだけに利用されたこともわかっており、本来の主旨と違った形での利用が一般化していた。
2014年7月、トランジット制度を利用したマカオ滞在期間が従来の7日間から2日減の5日間に短縮され、実際に第三国、地域へ渡航しなかった場合、60日以内(従来30日)の再入境時の滞在期限は1日とし、この場合に60日以内の3度目の入境は認めない新措置が導入された。
しかし、中国本土からマカオを訪れるカジノVIP客や、VIP客をエスコートする仲介人がこの制度を多数利用していたとみられ、以降のカジノ売上にマイナス影響を与えた可能性も指摘されていた。
マカオ治安警察局が6月30日に公表したプレスリリースによると、今回のトランジット滞在制限緩和の理由について、中国が推し進める「一帯一路(新シルクロード)」構想に対応し、中国本土及び海外華僑旅客に向けたマカオ国際空港のハブ化を促進することなどを挙げた。また、制度の本来の主旨と異なる利用については、第三国・地域との間の有効な航空券の予約履歴の確認など、これまで通り厳格に対処するとした。