北朝鮮のカジノに勤務、マカオ人従業員が現地で自殺=両親は原因究明希望
- 2015/8/1 9:53
- 社会・政治
マカオのポルトガル語日刊紙「Hoje Macau(オージェマカオ)」が7月29日付電子版で報じた内容によると、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)・平壌の羊角島(ヤンガクド)ホテル内にあるカジノ施設「平壌娯楽場(カジノピョンヤン)」に勤務するマカオ人従業員のレイ・フーウィンさん(29)が今年6月、現地で自殺とされる謎の死を遂げたという。
平壌娯楽場はマカオの大手カジノ運営企業SJMの投資先にあたる。
レイさんの父親によると、今年5月31日に息子からインスタントメッセンジャーアプリを通じて連絡があり「金銭トラブルで脅迫を受けている。カジノ担当者からマカオの銀行口座を凍結する必要があると指摘されたが、身に覚えがない」とのメッセージが書かれていたという。また、レイさんの同僚は「息子さんへの暴力は常態化していた」とレイさんの母親に伝えたとのこと。翌日、レイさんの両親は、息子がゲーミング(カジノ)チップを盗んだことを理由に解雇されたとの情報を受けたが、両親及び親族は「そんなことはありえない」と不信感を募らせたという。
その後、両親は息子に連絡を取ろうと試みたが、息子がネット接続しておらず、返信を得ることができなかったそうだ。5日が経過した後、カジノの担当者から連絡があり、レイさんがマカオに戻ると知らされた。しかし、その数時間後に再び連絡があり、レイさんが自殺したと告げたという。平壌の病院の検死報告書によると、レイさんは全身に複数の骨折があったとされた。家族は「今回の事件は謎に満ちている」として、レイさんの死を受け入れられられない状況とのこと。
カジノ側は弁護士を通じて両親に現地での火葬を求めたというが、両親は現地に赴き、遺体をマカオへ搬送することを希望した。その後、母親らが平壌を訪れ、17日間滞在したが、滞在中はパスポートと携帯電話を没収された上、レイさんの同僚との面会は許可されず、遺品が返還されることもなかったとのこと。
現在、マカオの政治家を通じて遺体の搬送手続きを進めているという。
両親によると、レイさんはマカオでヌードルレストランを開業するのが夢だったといい、開業資金を貯めるために北朝鮮での仕事を選んだとのこと。