マカオ政府、カジノ内の喫煙所設置条件付きで容認の方針=全面禁煙から態度軟化
- 2015/8/9 15:02
- カジノ・IR
カジノフロアを含む屋内公共エリアの全面禁煙化を目指すマカオ政府だが、カジノ業界からは死活問題だとして反対の声が上がっているほか、市民の間からもカジノ売上の減少に伴う経済へのマイナス影響を懸念する声が上がっている。
目下、マカオのカジノフロアはマスゲーミングフロア(平場)が全面禁煙で喫煙所を設置、VIPルームが面積の50%を上限に喫煙ゾーンの設置が認められる分煙となっている。
当のカジノ業界も、カジノフロアの禁煙化をVIPルームにも拡大する方針については賛成の意向を示しているが、折衷案として喫煙所の設置を認めるよう政府に対して訴えている。
一方、マカオ政府は、喫煙所から漏れ出す副流煙による受動喫煙が問題だとして、マスゲーミングフロアにある既存の喫煙所を廃止し、新たに全面禁煙となるVIPルームへの新設も認めないとする方針を強く示していた。カジノ従業員及びカジノ訪問客の健康が最優先されるべきというのがその理由だ。
しかしながら、マカオのカジノ売上が昨年(2014年)6月から今年7月まで前年割れが続き、今年1〜7月の累計カジノ売上が前年同期比36.7%の1402.59億パタカ(日本円換算:約2兆1822億円)となるなど、マカオ経済の屋台骨が揺らいでいる状況だ。
昨今のカジノ売上低迷はマカオのカジノ売上の大半を占めるVIPルームの不振によるものとされる。マカオのカジノ経営ライセンス保有6陣営の調査によると、VIPルーム顧客の大半が喫煙者で、仮に喫煙所なしの全面禁煙化が実施された場合、32%がマカオ以外の喫煙可能なカジノへ行き先を変更すると回答したという。
こういった状況を踏まえてか、マカオ政府の態度も軟化が見られるようになったようだ。
マカオの月刊英字経済誌「マカオビジネス」が8月7日付電子版で報じた内容によると、マカオ社会文化庁のアレクシス・タム長官は前日(8月6日)の立法会会議後の記者会見において、条件付きでカジノ内の喫煙所の設置を容認する方針を示したという。
タム長官が示した喫煙所設置の条件は、一般市民及びカジノ企業の間で十分な合意が形成されていること、副流煙による受動喫煙が確実に防止できるものであることの大きく2点。この条件をクリアできる場合、政府が専門家を交えた喫煙所の技術仕様に関する検討を進めるとした。