マカオ初となる軌道系大量輸送機関として大きな期待がかかるマカオ新交通システム(マカオLRT)第1期プロジェクトだが、建設工事の大幅な遅延により完成及び開通時期のメドが立たない状態となっている。
マカオLRT第1期プロジェクトはマカオ半島北部の關閘から外港フェリーターミナル、新口岸、南灣湖を経由して媽閣に至るマカオ半島線、媽閣から西灣大橋を経てタイパ島に入り、コタイ地区を通ってマカオ国際空港、タイパフェリーターミナルに至るタイパ線の2線、21駅、21キロメートルで構成される。
また、国際入札を経て日本の三菱重工と伊藤忠商事の共同体が駅舎と土木工事を除くLRTシステム一式を46億8800万パタカ(日本円換算:約716億円)受注しており、マカオの公共工事として日本企業が獲得した最大規模の案件としても注目されている。東京の「ゆりかもめ」と同タイプ(クリスタルムーバー型)の日本製の鉄道車輌がマカオの街を走る予定だ。
これまで、マカオLRTの開業予定は最短で2016年とされ、マカオ当局は鉄道車輌110輌をオーダー済み。生産を担当する三菱重工では、広島県の三原製作所で量産及び走行試験が当初計画通り進んでいるという。
しかしながら、マカオLRTの建設工事は大幅に遅延している状況だ。2路線のうち、本格着工したのはタイパ線のみ、しかも肝心の車輌基地の完成度は1割程度で、この部分を担当する建設業者が工事をストップしてしまっている。当局はこの業者との契約見直しを含めた解決策を模索しているが、具体的な工事再開のメドは立っていないという。車輌基地なしには完成済みの車輌を搬入することができない。
マカオの日刊紙「澳門日報」が8月23日付紙面で報じた記事によると、マカオ当局はこういった状況を受け、三菱重工に対して耐用年数を延ばせるよう車輌を良好な状態で保管してほしいと要請したとのこと。
目下、マカオLRTの建設費用はすでに当初予算を大幅に上回る90億パタカ(約1375億円)に達しているといい、車輌保管期間延長に伴う追加費用など、さらなるコスト増が懸念されている。ただし、当局では車輌の保管期間の延長に伴う追加費用の有無について明らかにしていないという。