マカオ政府、抗日戦勝70周年イベント概要発表=市街地中心の広場で式典開催、世界遺産でパブリックビューイングも
- 2015/8/29 10:25
- 澳日関係
中国本土、香港、マカオでは、今年(2015年)9月3日(木)が中国人民抗日戦争及び世界反ファシスト戦争勝利70周年記念日として休日となることが決まっており、これに前後して各地で関連イベントの開催などが予定されている。
マカオ政府は8月28日午後の記者会見で、9月に開催を予定している政府主催の抗日戦勝70周年関連イベントの概要を発表。抗日戦勝と烈士の遺志を顧みる一連のイベントへの参加を通じ、特に若い世代に対して抗日史、平和、歴史の教訓について理解を深める機会となることを望むとした。マカオの政府系放送局TDMのラジオニュースによると、政府が一連のイベント開催のために投じる予算は約220万パタカ(日本円換算:約3350万円)とのこと。
記念日当日にあたる9月3日午前8時30分から市街地中心の塔石広場で政府主催の「中国人民抗日戦争及び世界反ファシスト戦争勝利70周年記念セレモニー」を開き、国旗掲揚、国歌斉唱、犠牲者に対する追悼などが行われる。セレモニー終了後、市民が記念写真撮影などをできるよう午後6時まで会場を一般開放するという。
同日のマカオのセレモニー及び北京の天安門広場で開催されるセレモニーと閲兵式については、著名観光名所の1つ、世界遺産セナド広場に設置する大型ビジョンでパブリックビューイングを行うとのこと。
なお、マカオ特別行政区の崔世安行政長官は中央政府から北京で開催される一連のイベントへの招待を受けたとし、各界代表者ら100人規模の代表団とともに参加することも発表されている。
また、9月1日から10月4日までマカオ返還寄贈品博物館で抗日戦争に関する約210点の写真、約80点の文物を展示する「中国人民抗日戦争及び世界反ファシスト戦争勝利70周年記念エキジビション」が開催される。展示は「中国人民の抗日戦争」、「マカオ各階層の愛国力による団結と抗日救国」という2つのテーマで構成されるという。
第二次世界大戦において、英国の植民地だった香港は旧日本軍による3年8ヶ月間の占領期を経験した。一方、マカオは中立国の立場にあったポルトガルの統治下にあり、直接の戦火が及ばなかったため、周辺地域から戦渦を逃れて流入した避難者も多かったとされる。
香港は1997年7月1日、マカオは1999年12月20日に、それぞれ中国に返還され、中国の一部となったことから、中央と歩調を合わせ「反日」政策を推進するのは当然のこと受け取ることもできる。その一方で、マカオ政府はスポーツや文化、ビジネス分野における日本との交流に積極的であることも事実で、極端に反日政策一辺倒というわけではなく、概ね友好的といえる。
マカオでは若い世代だけでなく、幅広い層に日本食、日本文化、日本ブランドが支持されているほか、昨今の円安の追い風を受け、日本各地を訪れる観光客も急増している。これまでに民間レベルによる抗日戦勝70周年に関連する日本をターゲットとした抗議行動などの目立った動きはなく、一般市民の間では「抗日」を掲げた官製の愛国心高揚キャンペーンとして冷静な見方をしていることが伺える。