マカオの大型IRに「敷居が低い」新タイプのVIPルーム登場=ギャラクシーマカオ内

マカオのカジノVIPルームといえば、高額の賭け金が飛び交う怪しげな世界というイメージで語られることがほとんどだ。一般的に会員専用となっており、入会方法や入会に必要なフロントマネーの金額が公開される機会も少なく、謎のベールに包まれた極めて敷居の高い存在といえる。

マカオ唯一の日系ホテルとして知られるホテルオークラマカオも入るコタイ地区の大型IR(統合型リゾート)ギャラクシーマカオ内に9月29日、新タイプともいえる直営のVIPルーム「パビリオンVIPルーム」がオープン。記念セレモニーに続き、こういった施設では異例となる地元メディアへの内部公開も行われた。

パビリオンVIPルームは、ギャラクシーマカオのホテルオークラマカオ棟に近いマスゲーミングフロアの入口脇からエスカレーターで1つ上に進んだM階に位置し、40台のゲーミングテーブル(ゲームの種類はすべてバカラ)と6台のスロットマシンを設置。

興味深いのは敷居の低さだ。広報担当によると、施設の入口で無料で入会できるメンバーシップクラブの案内をすることもあるというが、フロントマネーの設定もなく、一見(いちげん)でもかまわないとのこと。また、ゲーミングテープルのミニマムベット(1回あたりの最低賭け金額)を確認すると、マスゲーミングフロアの約2倍程度にあたる2000香港ドル(日本円換算:約3万1000円)がほとんどで、低めに設定されているという印象だ。

なお、マカオのカジノではマスゲーミングフロアが喫煙室を除いて禁煙化されているが、こちらはVIPルームのため分煙扱いで、およそ3分の2のゲーミングテーブルが喫煙可能エリアに配置されている。喫煙ギャンブラーの取り込みも想定されているとみられる。

米ラスベガスの6倍規模の売上を誇る世界一のカジノ都市マカオだが、月次カジノ売上は、昨年6月から今年8月まで15ヶ月連続で前年割れとなっており、今年1〜8月の累計カジノ売上は1588.82億パタカ(約2兆4065億円)で、前年同期比36.5%減と低迷が長期化している。

昨今のマカオのカジノ売上減については、中国本土富裕層を中心としたハイローラーと呼ばれるVIPカジノ客の流出によるものとされ、中国本土における経済の減速や反汚職キャンペーンの拡大などの影響が指摘されている。一方、平場にあたるマス部門は比較的堅調に推移していることから、カジノ運営各社ではハイエンド・マスと呼ばれる準VIP層の集客強化を図っており、新たな売上の柱に育てたい思惑がみてとれる。

ギャラクシーマカオ「パビリオンVIPルーム」オープニング式典=9月29日ー本紙撮影

ギャラクシーマカオ「パビリオンVIPルーム」オープニング式典=9月29日ー本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ市政署(IAM)は11月21日、マカオ半島のギアの丘(松山)に位置する史跡「松山軍用隧道(…
  2.  マカオ政府衛生局(SSM)は11月22日夜、同日マカオ域内で輸入性デング熱感染を新たに1例確認し…
  3.  マカオ治安警察局は11月21日、他人の身分証を使用してカジノへ入場した上、賭博で獲得した得たポイ…
  4.  冬のマカオの街を美しく彩る毎年恒例のイルミネーションイベント「ライトアップマカオ2024(中国語…
  5.  マカオ政府統計・センサス局(DSEC)は11月21日、今年(2024年)10月の訪マカオ外客数(…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…
  2.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  4.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  5.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun