マカオ、市民への現金配布9年連続実施へ=支給額は据え置きの約14万円、カジノ低迷も財政に余裕
- 2015/11/19 19:00
- 産業・経済
カジノ税という潤沢な財源を抱えるマカオ特別行政区は、インフレ対策や富の還元を理由に2008年から今年(2015年)まで8年連続で市民に対する現金配布を実施している。しかし、昨今のカジノ売上低迷を受け、歳入のおよそ8割を占めるカジノ税収が大幅減となる中、市民の間では今後の継続の有無、金額の増減に関心が集まっていた。
マカオ特別行政区のフェルナンド・チュイ(崔世安)行政長官は11月17日に実施した来年度(2016年1〜12月)施政方針演説の中で、現金配布を継続実施する方針を明らかにした。支給金額は、マカオ特別行政区永久性居民(永久居留権保有者)が9000パタカ(日本円換算:約13.9万円)、非永久性居民(臨時居留権保有者)が5400パタカ(約8.3万円)で、2014年及び2015年と同額となる。
マカオのカジノ売上は、月次ベースで昨年(2014年)6月から今年10月まで17ヶ月連続で前年割れ、今年1〜10月の累計でも前年同期比35.5%の大幅減となっている。また、1〜10月の歳入は31.2%減(このうちカジノ税は35.2%減)で、財政黒字は約6割目減りしているものの、すでに年度予算執行率は183.9%に達しており、財政は余裕のようだ。
マカオ特別行政区では、現金配布のほかにも高齢者(満65歳以上)に対する養老金(年13回、年金に相当)と敬老金(年1回)の支給、医療クーポン券の配布、家庭用電気料金の補助、所得税減税、個人年金口座への資金注入など幅広く、これまで市民が肌感覚で実感できる形での成果の分配を実現する政策を継続実施しており、いずれも来年度も継続となる。11月17日の施政方針演説に盛り込まれた市民への成果配分に充てられる金額はおよそ117億パタカ(約1805億円)。マカオ特別行政区では、消費活性化策としてキャッシュバウチャー(地域振興券)の発行及び配布も別途検討しているという。
なお、来年度の市民向けの現金配布の支給額は据え置きとなるが、敬老金は増額される。来年度、マカオ永久性居民の高齢者1人あたりの現金受給額は、現金配布9000パタカ、敬老金8000パタカ(約12.3万円)、養老金4万3550パタカ(約67.2万円)の合計6万550パタカ(約93.5万円)に上る。